懲りずにコラム目次

「懲りずにコラム」 2004年12月上旬号

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「再び、メール事情」
 ケータイやパソコンでのメールのやり取りは、筆不精ものには"福音"だったらしく、一般的なあいさつやマナー、 手紙の書き方や敬語の使い方など、どうでもよくなってしまったようだ。
 前兆は、かなり前になるがファックスの普及にあった。電話番号さえ間違わなければ、相手に届くため、 仕事上でさえも「手紙の形式(作法)」は急速に失われていった。 自社(自分)専用の用紙に、「FAX送信表」とか「本紙を含む…枚」とか、 「拝啓 貴社ますますご清祥の事とお喜び申し上げます。」などと印刷しておけば、書くのはほとんど用件のみになってしまったからだ。
 いや、それ以前から、すでに兆候はあった。ある団体に勤めはじめ、多くの人に送る会議の資料などに、 コピーだが一筆書いたものを同封していた私は、お宅から手紙の入った文書をもらったのは初めてといわれ、驚いたことがある。

 話は、現代にもどる。老いも若きも関係なく、のっぺらぼーの、文章ともいえないメールが届くようになった。 未知の人からの問い合わせなど、返事すべきかどうかは、手紙の形式(作法)やマナーを弁えているかどうかで判断できるが、 さほど親しくないのに、「前略 ○○です。」とか「こんばんは、××です。」ではじまり、 数行の用件で終わる誰あてでもよい文面は、腹立たしい限り。
 初めての"お付き合い"なのに、2度目からは「いつもお世話になっております。」という鈍感さは、若い人に多い。 さらに、受け取る相手の名前もなければ、時候のあいさつなど情緒的な雰囲気、あるいは個性を発揮する感じもないメールに、 男女の区別はない。
 形式は整っていても、読み返しをしないとは信じられない。手紙を書いていたときには、必ずやっていただろうに……。 画面の上端にへばりつくように書いてあるのはゴミが浮いていると錯覚を起こす。レイアウトに配慮もなく、 だらだらと書き流すのは、読みにくいばかりか美意識もなく、内容も分らない場合が常だ。
 若い人には、マナーとして必要なことなど忠告する時もないではないが、年配者には考えてしまう。 しかし、仕事の場合、やり取りを無視するわけにもいかず、公私混同はなはだしくても、下手な忠告で話がこじれては元も子もないからだ。 まさか、どこかの小学生のように、カッターナイフまでは出てこないだろうが。
 メールは便利だが、弊害もかなりある。自分のことには雄弁だが、こちらの質問に答えていないことも多い。 相手に理解してもらうには、どう表現すればよいかという配慮や、こんな文章をもらったら嬉しいな、 という想像力が欠けているのではないか。
 考えてみれば、この文章は「だれに向けて、書いているのか分らないではないか」との、内なる声も聞こえる?!

「学校の評価」
 都立高校が、学校経営計画を立て、それをどこまで実行したか、成果を挙げたかで評価を下すというのはよいことであろうが、 保護者向けのアンケートを求めたところで、どこまで実態を把握できるというのだろうか。
 学校運営連絡協議会・学校評価委員会から来たアンケートの、25項目のうち最後の5つは自分の子どもに関することで、 これには答えられる。しかし、大勢を占める20項目には正直なところ、「ほとんど分らない」としか言いようがないのに、 選択肢は、4:そう思う、3:ややそう思う、2:あまりそう思わない、1:そう思わない、だけである。
 いくつかの設問をあげよう。1、本校の授業に、満足していますか。2、本校は、授業開始時間を守る指導をしていますか、 このような指導が必要だと思いますか。(注:「…をしていますか、」の「か」は"問いを意味し、設問になっていない"。 「が」の間違いであろう) 飛ばして5、本校の生活指導は適切だと思いますか。7、本校の部活動は、充実していると思いますか。 14、本校の学校行事に満足していますか。15、本校が社会貢献や地域奉仕の重要性を生徒に教えることは、必要なことだと思いますか。 18、本校は、生徒一人一人の心の悩みに対応していると思いますか。……
 保護者としては、しょっちゅう学校に行き、現場を見ていない限り、問い「15」以外は答えようがない。 そこで、目下"本校"に通っている"生徒"に、いくつかの項目について尋ねてみたが、「分らん!」とのこと。
 誠実に答えようとすれば、「意見・要望があれば」のスペースに、「ほとんど分らない」とか「答えようがない」としか書けない。 この結果は、後日"本校"のホームページに掲載されるというから、いま流行の"捏造"のないことを願いつつ、 "良心的拒否"をせざるを得なかった。
 * 学校アンケートに関するコラムは1年前にも書いております。03年12月下旬号≪久々に「PTA日記」番外「アンケートの趣旨」≫をご覧ください。

「"徴兵制"を明記すべき?!」
 自衛隊のイラク派遣を延長するかどうか、今月9日に決定するという政府だが、現地を知らずして延長を決めては、 国民の支持が得られるのかとの議論もあったらしく、急きょ大野防衛庁長官がイラクに行った。 サマーワでは、不似合いな防弾チョッキだかを引っ掛け、閲兵らしきことをした後、地元の県知事との握手で、 いつまでも小刻みに振り続けるのは何かの病気のせいか?! もうひとつ、現地のだれかと文書を交換する際も、 テレビカメラのほうを見ろと相手にいうところなんぞ、岡田民主党代表に、単なるショーだとか、 パフォーマンスだとかいわれても仕方がないところだ。
 長官がもしテロに巻き込まれれば、派遣延長が「ノー」となる可能性もあってという心配をよそに、 「サマーワは予断は許さないが、安全だ」とのこと。行ってよかったじゃないの?!  もっとも、現地では第3次支援部隊と4次部隊の交代時期にも重なり、「余計な仕事が増えるのは迷惑」なのが本音だそうな。 政治家の海外視察なんて、いつでもそうではなかったか。
 ついで、自民・公明両党の幹事長も別途、野次喜多道中としゃれ込んだ。 "驚天動地"幹事長にとっては支持者向けの初めての"大仕事"だろうし、もう一方は創価学会会員向けの配慮だとか。 あげくに、「子どもも大人も手を振ってくれたから、歓迎されている」とは、ヨン様だって言わないぞ。 だれだって、手ぐらいは振るさ。その昔、誇り高き日本人は、「ギブミー・チョコ!」と進駐軍に手を振ったではないか。 それぐらいのパフォーマンスができなくて、イラク人をやっていられるか!?
 さて話は変わって、"憲法改正"の動きが顕在化するなか、自民党の改正案大綱素案に、 陸上自衛隊の幹部隊員が作成した改憲案がそっくり反映されていたという。わが国では文民統制が守られているはずだが、 これは自衛隊出身の元防衛庁長官である中谷元(自民党憲法調査会・改憲案起草委員会座長)の要請で行なったのだという。
 同座長いわく「政治家としての勉強のために『力を貸してくれ』といったのは事実だ。 私的なものであり、問題ない」とのたもうたそうだが、隣国の大学受験生による集団カンニングとどこが違うのか。
 制服組の行き過ぎは問題だが、その内容を見ると、1.侵略戦争の否定、2.集団安全保障、3.軍隊の設置・権限、 4.国防軍の指揮監督など8項目に及ぶもので、いま以上にアメリカの傘の下に入り、自衛隊から軍隊への道筋を示すものであろう。
 ところで、安全保障関連で「盛り込むべき事項」とは別の文書に、徴兵制の否定など現憲法の精神に沿ったものもあるという。 これこそ問題ではないか。
 あまりよく考えない国民の多くは、憲法が改正されても、これまでの生活が変るわけでもないと早合点し、 自衛隊はすでに"軍隊"であり、アメリカの支配下に入るのも仕方がないと思っている。 そのうえ "徴兵制"がなければ万々歳となるのは必定ではないか?!
 それでは困る。ここは是非"徴兵制の容認"と特筆大書して、大いに世論を喚起してほしいものである。 自衛隊幹部ならびに元防衛庁長官ドノ!!
 ≪ここまでが7日現在の原稿だが、今朝になると状況の変化に驚くばかり。12・8は真珠湾攻撃ばかりではなかった。 防衛庁長官の5時間だかの"滞在"も「現地視察」に代わりはなく、滞在していた時点では"サマーワは安全"であったことも確かだが、 今後、何の保証もないことにも代わりはない。一方、気になるのは、自民党憲法調査会の動きで、 今度はコイズミ首相直轄の組織に衣替えというではないか。ますます窮屈な世の中になることだろう。≫

(以上、2004年12月8日までの執筆)


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