「懲りずにコラム」 2004年3月上旬号
「ヌマヅ・クワズ・カワヅ…」
近年有名になったらしい伊豆半島は、河津の桜と稲取の雛のつるし飾り。
これを見に行く地元の観光会社が企画したバスツアーにカミさんと参加した。
2月末の金曜日、車は多く道は狭い。どこでも富士山が見え隠れするほど天気はよく、稲取も河津も平日なのに人は多く、
花より団子と、みな口々にモノを運びながら、イラクは忘れても麻原の"死刑"が気になる、天下泰平さ。
朝6時半から、約50人の主として老々男女を、何か所もの"デポ"で拾って、8時過ぎに"出発"、
東名から小田原厚木道路を走り、小田原の某かまぼこ店でトイレタイム兼"買い物"を済ませ、
廃墟と化す寸前の熱海の某ホテルで、11時半に昼食をとる。伊東市内を素通りし、
(現地ではもう散ったのではと気をもませる)満開の河津桜の伊豆高原を抜け、稲取に着いたのが一時半。
3時から1時間の河津桜見学も済ませ、天城越えに時間をとられ、夕闇に包まれながら、
最後の"契約地"沼津のひものセンターへは着いたのは7時前。トイレに駆け込みたい女性の列が長く続く店内はごった返して、
さしずめミニ"アメ横"であった。
バスの中、私たちのすぐ後ろは70歳に近い老人二人だが、その一人は通路を挟んだ隣の老夫婦の仲間。
窓際の奥さんをそっちのけ、この3老人は大きな声で、知ってることは何でも喋りたがる子どもと同じで、のべつ幕なし。
これが行きも帰りも、通りすぎる道々で、ホテル・ゴルフ場・老人マンションなど安い高いの"評定"、はては孫の高校受験、
病気や老人会の計画など、愚にもつかないことを勝手に喋る、迷惑この上ない。
一方、"プロ"であるガイド嬢は、「ガイドブック」と"あんちょこ"を読みながらの案内。
口を開けば、「こちら、こちら」の連続で、たまに聞こうとする乗客は右も左も分からない。
いっそのこと、テープを回し、適宜スイッチを入れれば事はすむ。道が混む割には早く着いたり、
集合時間に遅れる客を探しに走り回ったり、慣れているのかいないのか、女性添乗員も大忙し。
ところで、これは、事前に検討したツアーの、いちばん格安(6900円のところ特価3500円! しかも昼食つき、入場料つき)、
盛りだくさんではあった。他に、市主催の場合は往復とも東名高速利用、沼津経由、現地滞在2時間、昼飯持参で4000円。
もう一つは新聞社系の企画で、新宿か東京駅からの、温泉に入るのが目玉らしい(バスタオルつき)、7千円台の2コースである。
どれがよいかはともかく、運転手は道を知らない、ガイド嬢は地理・歴史を知らない、ツアコン(添乗員)は常識を知らない、
老人はマナーを知らない、私はツアーバスの乗り方を知らないという、一日であった。
「警察官も人の子!?」
小学生女児を連れ去り逮捕された、24歳の福岡県警"ロリコン"警察官は、「身に覚えがない」といったとか。
その昔、ロッキード事件に関連し、児玉誉士夫などは健気にも「記憶にございません」を連発したが、
いまの若者のほうが進んでいる?!
それはともかく、警察官が"正義の味方"と思うのは、とっくの昔の幻想で、「"悪さ"をする人材は)一定の割合でいる」
と警察幹部も認めている。さらに、いずれ茶髪警官も誕生するだろうと、のんきにいう関係者もいるそうだ(東京04・2・24)。
安定を求めるからか、近ごろ応募者が増えて、たとえば警視庁の昨年度の採用試験では、平均倍率が男性11.5倍、
女性で19.3倍と、どこやらの超難関大学以上ではないか。
しかし、適性検査に明確な基準はなく、人物を見極めるのは警察学校での1年間の寮生活だそうだが、
厳しい訓練にも耐えられない若者が多いのも現実という。これは、ひょっとすると、
イラクに派遣されている若者たちにも通ずる…と想像するのは失礼か。
もっとも、年配者でも酔っ払い運転やワイセツ行為を働いたり、ワイロを受け取ったり、報償費を不正に支出したり、
身内の不祥事を隠したり…、と書いているうちに思い出したのが、似非エッセイ「警察官の増員で、増えるのは?」
で指摘した"一定の割合で増える"警察官の犯罪や事件であろう(03年9月下旬号)。
もう一つ、危険な場合に、「私にも妻子がいますから」と逃げてしまう"正直な"警察官もいるのだそうだ。
「今、なぜ"ポルノ規制"?」
昨年の夏、都知事は警察庁幹部を副知事に抜擢して、大々的な治安対策に乗り出し、また暮れの首都圏サミットやらでは東京都、
神奈川・千葉・埼玉各県知事と中田横浜市長など4市長も同様に治安対策で合意し、不法外国人対策と有害図書の排除を打ち出したという。
その大元にあるのは、「『世界一安全な国、日本』の復活を目指します」(「政府広報」、04・1・20各紙に掲載)という、
昨年12月18日に"犯罪対策閣僚会議"が策定した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」である。
"犯罪に強い社会"って、何でしょうね。
さて、"外国人"問題は、密入国や拉致被害にかぎらず、覚せい剤の密輸やピッキング強盗など、由々しき事件が多く、
"国益"のために何らかの対策は必要だろう。
一方、いきなり俎上に載せられたのが"有害図書"。たしかに、「有害図書など排除すべきだ」と、だれしも思う。
しかし、東京都や中田市長は、何をもって"有害図書"とするのか、また少年非行との因果関係も示さず、
強引に排除(包装して中身を見えなく)せよと、条例改正を目論む。
なぜか。ここに"詭弁"の典型を示そう。都のある答申に「インターネットに比べて図書の持つ影響は小さいという認識から、
図書だけの規制を検討しても無意味であるという意見もあったが、不健全(=有害)な図書の持つ影響を無視して良いとまでは言えないこと、
また、できる所から一歩ずつ着実に対応を進めるべき」といい、「不健全図書とは何か、有害情報と犯罪に因果関係があるかなどの視点からの議論もなされ」、
「委員の間の意見の一致は見なかった」にもかかわらず、「行政を預かる都知事からの現条例の改正に関する諮問を受けての審議による結論」にしたという。
奥歯にモノが挟まったような論理展開、見事ですねえ。
さらに、情けないことに、これに対し、当の出版界は反対すらしなかったのです。
先人が、「言論統制の出発点は、いつも"ポルノ規制"だった。言論・出版の自由を侵害する恐れのある芽は小さなうちに摘まないと将来に禍根を残す」
といっているのに(拙著『有害図書と青少年問題』p313)。
全国的な防犯カメラの設置・子どもの防犯ブザー所持、また必然性のない"有害図書"規制などは、
大きな問題から国民の眼をそらせる"手段"で、見えない"敵"に対する危機意識を抱かせ、
互いに隣人を疑う"密告"を奨励することに。そのうち、隣組制度が復活するだろう、
いま国民は"大東亜戦争"直前の雰囲気に巻き込まれつつあるのだ。
子ども連れ去り("犯人"はあまり捕まっていない)は、警察の"やらせ"ではと思っていたところだが、
ほんとに現職の警察官がやっていたとは……。
《くり言》
BSEや鳥インフルエンザ等で嘆き悲しみ、"アカデミー賞"で空騒ぎしているうちに、だんだん、
日本も怖い世の中になってきました。街に警官があふれているのに気がつきませんか。
危ないのは"イラク"ばかりではありません。
《小話》
おつむにヘッドギヤー姿で逮捕された尊師は、漏れ承るところによれば、近ごろオムツをしているそうな。
"損し"て、オムツ取れとはいかないのかな。
《気になる話》
この4月から、消費税が姿を消し、商品は総額表示になるという。ということは、全国に蔓延する「100円ショップ」は、
当然"105円ショップ"と名前を替えるのでしょうな、きっと。看板屋さんなどは、思わぬ特需にほくそえむ?
そして、新語"百均"は、早くも"死語"になる運命に!? となるのかどうか。
いや、相変わらず「(総額)100円」で、勝負する店も出るだろう。となれば、喜ぶのは早い。
今まで、ボラれていたという"後悔""義憤"にさいなまれ、しばらくは、国民の「100円ショップ」離れが進むかもしれない。
総額制は本体(つまり、価格)が分からなくなり、便乗値上げもあるのではという嫌な予感と、
消費税はいずれ10%以上になるという話も現実となりそうで、また心配のタネは尽きない。悩ましい世の中ですねえ。
《余計なお世話》
近ごろT新聞は、朝刊に前日の「夕刊ダイジェスト」欄を設け、その横に「今日の夕刊から」と"予告"を載せている。
新聞は、新しいニュースを載せるものではなかったのだ! 夕刊を取らない人のためか、親切心からだろうが、
横並びの好きな新聞界、他紙も同じことをやっているのだろう。これを"自殺"行為という?!
(以上、2004年3月3日までの執筆)
kenha@wj8.so-net.ne.jp