「懲りずにコラム」 2004年1月下旬号
「守秘義務とは」
近くの図書館から電話が入った。カミさんの借りた本の期限が切れ、予約が入っているという女声である。
「出かけております」と答えると、「それではご伝言ください」といいかけたので、「書名を教えてください」と問うと、
「それは言えません」。「本を早く返すのが目的でしょ」「そうですけど…」「だったら、なお教えてください。
うちに秘密はありません。皆で読んでいますから」「でも、それは…」と言いよどむので、「分かりました」と私は切ってしまった。
しばらく前のは、もう少しレベル? が高かった。「書名はご本人でないと…」「いや、あれば私が返しに行きますから、
言ってください」、「それでは、裏表紙に、バーコードと数字がありますね。その数字を言いますから…」というので、
"バーコードの権威"である私は「分かりません」と電話を切ってしまったことがある。
彼女は、書名を言わなければ、守秘義務に違反しないと知恵を働かせたつもりらしいが、
バーコードはその"もの"を特定するための記号。書名を言うのと変わらないではないか
(拙著『バーコードへの挑戦―浅野恭右とその時代―』をご参考に)。
「卵が先かニワトリが…」
届いて1週間もすれば、生で食べない我が家だが、半年前のタマゴが堂々と売られ、それを食して、
腹痛などを起こした人が20人程度だったとは驚きである。ついでに知ったことは、生食は日本人だけとか、
鶏卵管理に法律がないのも日本だけだったこと!?
事件は、5万個を出荷し、1万個が返品されたとか。ということは、かなりの数のタマゴが、多くの人のお腹に入ったわけだが、
被害が小さいとは、日本人は強いのか鈍感なのか。
半年もすれば、ヒヨコになっているのではと思うのだが、何? だから、ケエランって言うのか。
などと、ヒヨコ、いや与太を飛ばしているうちに、今度は鶏のインフルエンザ騒動である。
コイ煩い(鯉ヘルペス)やアメリカの狂牛病も、わが国(の一部)に大打撃らしく、連日新聞などマスコミの好餌になっている。
やはり昔から言うように、地場のものを自分で調理して食するのがよいようで、この際コンビニやスーパー、
ファミレスを敬遠し、ファストフードの自粛という"専守防衛"しかないのじゃないか知らん。
豚汁を食べながら、「これBSEの肉入っていないだろうな」などと、トンでもないことを言う小泉サン。
海綿状態じゃないでしょうな。
「すでに、大本営の気分?」
1月13日、イラクへの自衛隊派遣がそんなに危険なのか、防衛庁はとつぜん、
週1回の陸海空の幕僚長による定例記者会見を廃止するなどと防衛記者会に通告した。
他省庁と比べて、定例記者会見が多く、各幕僚長の会見では質問ゼロが多いという理由からだそうだ。
ところが、昨年8月以来の計36回の会見のうち、質問なしは3回だけで、「会見質問ゼロ」というのは"ウソ"だった。
これは、福田官房長官のヨコやりだとか"背広組"の介入によるものらしく、"制服組"は「国民の理解を得るために」
むしろ積極的に報道してもらいたいのだそうだ。
つまり、誤った"文民統制"だったらしく、他にも事実誤認が続出したそうだが、すでにしてウソ、
根拠なしの"大本営発表"を行ったわけだ。
もっとも、いつの世も、政治家や大企業、病院も警察も、大なり小なり"大本営発表"を行っている。
そして、いちばん怖いのは、それを報道するマスコミも"大企業"であることだ。
「平均39歳!?」
ある日の新聞見出しに「DV加害者/平均39歳、6年間暴力繰り返す/法務省調査 子供の面前で事件42.5%」とある。
配偶者などを相手に暴力を振るった加害者(346人、男322、女24)の事件記録をデータ化し、最年少は19歳、最高齢は71歳で、
平均年齢は39.8歳、暴力期間は平均5.7年だったとある。この記事を読んで、何か変だと思いませんか。
単なる数字の羅列は問題を抽象化してしまい、「ふーん、40歳前後で、6年も暴力を振るっているのか」と読み誤ってしまうではないか。
せいぜい、どの年齢層に多いとか少ないとかをいえばよいものを、役人も、それを記事にする記者も、他人事だからか、
ノー天気なのか。何でも"平均"を出せばよいというものではない。
再び「モノは言いよう」
その1)今月6日の記者会見で、教育基本法の見直しについて河村建夫文科相は、「この問題は根本から考えていくことが必要。
今の平和憲法下で考えた時に、再び軍国主義に走るとか、昔に戻るとか、そういうことはあり得ないのは明確だ」と強調したそうだ。
「今の平和憲法下で」とは、うまいこと言うもんですねえ。これを聞いて、記者さんたちは、質問しなかったのですかねえ。
「だから、改憲したいのでしょう?」ぐらいの…。
その2)千葉県流山市では、一昨年の職員採用試験で市内在住者を優先するため、一律120点のゲタを履かせ、
一次試験の合格者40人全員がゲタ組だったことがばれた。
ゲタなしの今年は、9人対22人でハダシ組(市外)が多く、はしなくも市内に優秀な人材が少ないことが証明され、
去年採用された諸君は肩身の狭いことだろう。「市民の雇用の場を確保する観点から、市民を第一順位で選考する」手段が、
よりによって120点とは。
《同市のHPをうかがうと、「江戸末期に活躍した新選組の局長を務めた近藤勇は、流山において官軍に捕らえられその後、
斬首とな」った地だそうです。時流に乗ってますね!》
その3)除夜の鐘だけでなく、カウントダウンで年が明ける日本。
韓国ではやはりカウントダウンで元日から日本の歌やテレビドラマが解禁となったが、
TBSのドラマ「First Love」について、20代の女性は「教師が大学生とならともかく女子高生とのキスシーンを放送するとはとんでもない」
と拒否反応を示したという。ということは、数年前から流行っている女子中学生らの援助交際を知れば卒倒することだろう。
もう一つ、都内の中高生の男4人組は路上強盗の際、バタフライナイフで脅しながら、「金を出せ。カウントダウンするぞ。
5,4,3,2、1」とやるそうな。これには大のオトナも、ハナから"ダウン"でしょうな。
その4)親が自分の子どものことで、「どうやって叱ればよいのか分からない」「会話が続かない」
などというのが"重大事"とは!?
警視庁少年育成課が開設している、少年少女の悩みを聞く電話相談(ヤング・テレホン・コーナー)では、
昨年の親からの相談件数が10年前の2.4倍となり、かつ成人の相談も増えているそうだ。
少年と親の相談数が逆転したのは、01年からで、相談の約7割が母親からだという。
昨年、夏に起きた長崎市の男児誘拐殺害や渋谷での小6女児誘拐監禁事件の直後から電話が殺到し出したという。
うちの娘は大丈夫だろうかとか、何を考えているか生みの親でも分からない息子のことなどを聞かれても、
見たことも会ったこともない他人の子どものことが、誰に分かるというのか。
困ったお巡りさんは、その子どもたちに、「お母さんをしっかり育てるように」とでもアドバイスしたいところだろう。
(以上、2004年1月21日までの執筆)
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