似非エッセイ目次

似非エッセイ 2003年9月上旬号

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「富士山の美化は可能か」
 富士山が世界遺産のすいせん基準に達せず、申請できなかったという話がある。 理由は、バスでも登れる五号目から上は捨てられたごみで汚く、その下の樹海は産業廃棄物などの不法投棄で汚染され、 生態系にも影響が出ているからだそうだ。
 家の中はきれいにしても、一歩表に出れば何でもポイポイ捨てる日本人の"清潔感覚"は、 深夜に遠く首都圏からトラックで運んでくるのだという。
 あまりにも広大な地域で、監視もままならぬ状況に、アメリカのように国立公園を守るレンジャーもボランティアでは間に合わないだろう。 不心得者の対策は? と、「クローズアップ現代」の報道はここまでである。
 山梨県や静岡県は、観光資源だけでなく、環境資源にも影響を心配しているという。 良心のかけらもない連中を締め出すには、富士山の噴火を待つしかないが、それは無理な相談である。
 それでは、恐れ多くも首都移転ならぬ、皇居(の一部でも)移転してもらい、一種の"天皇の領地"とするのはいかがであろう。 "神の国"日本としては霊峰富士の権威回復こそ、いちばんに相応しいのではないか。 勤労奉仕というボランティアなら、全国からバスを連ねて、善男善女が引きもきらないことだろう。
 そうすれば、無法者も出入りできなくなり、元の自然が戻るのではないか。

「選手よりも…」
 韓国の大邱で開かれたユニバシアードは学生たちのスポーツ大会。 同時期にアメリカでは国際体操選手権、パリでは国際陸上も開かれていたのに、連日のニュースで流される映像は、 北朝鮮からの女性応援団のことばかり。
 男性は、「ああ感激で、倒れそうだ」、女性も「望遠鏡で間近に見た、感激した」と、どこかの首相のような発言をする韓国人。 一方、"美女軍団"は口をそろえて、「会えてうれしいです」と統一発言のみ。競技は二の次である。
 そういえば、他にもある。高校野球で優勝した常総学院で最も話題になったのはこの秋引退するという72歳の木内監督だった。 さらに、テレ朝のNステーションで長年キャスターを勤め、やはり引退を表明した久米宏の場合も、"ニュース以上"の扱いである。 後釜となる古館伊知郎は"プロレス調"の絶叫アナウンスが身上というから、 ニュースはブレーンバスターやらバックドロップやら四の字固めとやらで、ナンノコッチャ分からなくなる?!
 しかし、極めつけというか、元祖はなんといっても、われらが永遠の主役"ナガシマ"であろう。

「イオカードで切符を買え!」
 先月末のある夜、池袋駅で手持ちのイオカードの残額では、改札を通れないと思ったので、もう一枚買い、 2枚重ねて通過しようとしたところ、ブザーが鳴った。不慣れな私は、それだけで戸惑う。どうして、パスネットとちがうのだ?
 駅員いわく「2枚を券売機に入れて、切符を買ってください!」。しかし、出てきたのは切符と、0円になった古いカードだった。 先の駅員にその旨告げると、券売機まで同道し、2枚目をとり忘れたのではないか。 カードは"時間差"で出てくるのだから、と非はこちらにあるといわんばかり。
 "時間差"で出てくるとはどこにも書いていないではないかと反論しても、答えられない。 さらに、「なぜ新しいのがあとで、古いカードが先に出るのか」と問うと、 お客さんによっては、会社で経路を証明する必要があるからと、したり顔に言う。 押し問答の末に「助役に聞いてくれ」というだけで、埒が明かない。
 翌日、助役から電話があった。券は2枚重なって出てくるもので、昨日の説明は間違いだという。 人によって説明が違うJRは、どういう組織じゃ!?
 それだけではない、システム万能をいいたいのか、全機械を調べさせたが、どの機械にもミスはなかったといい、 2枚目を落としたか、重なっているのではと、やはり非はこちらにあるという態度。(中略)
 それで分かったことは、職員が正直に状況を話していないことだった。到底納得はいかない説明だが、線路の保守点検より、 保身に忙しい彼らに、これ以上何も期待することはできない。 「カードで切符を買え」なんて組織に、改革を求めるにはあまりにも"時間差"がありすぎる。
 87年4月に民営化、まだ大人になりきれない!? ちなみに、駅員は「社員」というのだそうな。 ここだけ"国鉄"ではなく、JRなのかな。

久しぶりに「PTA日記」
 53回目という、公立高校のPTA全国大会が先月下旬、神戸市で開かれた。
 私は訳の分からぬままの初参加。想像を絶したのは登録人数で、千人ぐらいと思っていたが、なんと1万1千を超えるという。 もうひとつ、男性は5%ぐらいかと思いきや、4:6の感じで引けをとらない。 しかし、教育熱心な、とはお世辞にもいえない雰囲気。要するに、小ボスの全国大会と見た。
 準備に3年を要したと主催者の得意顔。スケジュール表は立派だが、毎年恒例のものばかりで、 訳知りの参加者は遅刻が目立ち、席を立ったり、途中で弁当をいくつももらいにいったり、 来賓のあいさつや講演者の話を聞かないものが多い。
 失礼なのは、地元高校生のジャズ演奏や獅子舞、またミュージカルは学校生活の延長である"クラブ活動の成果"であるが、 これはすべて「アトラクション」で片付けられたことだ。
 二日目に至っては、私語は多く、ケータイに忙しいオジサンオバサン、心はすでにツアー気分。 ツルんでとかツレションなどというが、どこへ行くのも都道府県、いや自校単位、まるで女子高校生並みといっては、 彼女らに失礼か。
 これで地元に帰れば、子どもたちに自立を、などというのだからマンガに等しい。 そう、JTBに丸投げした"公費"による観光パックツアー、何も考えなくてもいいのだ。天下泰平、また来年も続く……。
 全国大会といえば、同じ沿線の甲子園で高校野球を見た(第85回)。
 何十年ぶりかである。準々決勝の前であったか、バックネット裏、内野はともかく、外野席はガラガラ、 アルプススタンドも空いている。
 両校の応援団はにぎやかだが、試合が終わればバスの発車時刻の案内、とスケジュールどおり。 何台か知らぬが地元からバスを連ねて、往きも帰りも夢心地の"単一集団"の移動。 もう一度言おう、天下泰平、来年もまた続く……。

(以上、2003・9・3までの執筆)


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