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似非エッセイ 2003年9月下旬号

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「フリーライターとは」
 フリーターは、フリーアルバイターのこととかで、1980年代から使われている言葉だが、 この言語感覚が日本人を甘やかしている"元凶"ではないか。
 先ごろ、豊島区出身のフリーライター(男性、38歳)が、東京湾で潜水用の重し5人分を腰にかけられ、 遺体で見つかる事件があった。新宿歌舞伎町の暴力団や非合法ビジネスを暴いたノンフィクションを出版したばかりという。 脅かされていたとか、多額の借金があったとか、情報はさまざまだが、それはさておき、「フリーライター」とは何ぞや。
 「フリージャーナリスト」とか「フリーカメラマン」などの例もあるが、"フリー"とはそもそも、 どこにも所属していないことを示すのだから、ただの「ライター」で十分、"フリー"は"不要"。 一方、"専属"は、例えば名刺などに、(正社員であろうとなかろうと)「○△編集部記者」「○△編集部カメラマン」 と記すのが普通である。
 座付演出家、専属歌手などとはいっても、作家や漫画家などが「フリー作家」「フリー漫画家」とはいわないでしょう。
 新聞などが、ことさら"フリー"をつけたがるとすれば、一種の職業差別意識からであろうし、本人がつけたがるとすれば、 これはカッコづけ以外のなにものでもない。
 だからかどうか知らないが、大学新卒で、働かないのを"自由業"と履歴書に書く時代にもなっている。

「地震情報の確認は?」
 人を不安に陥れるには、デマや噂話が効果的だが、ちかごろ関東地方で、 マグニチュード7・0以上の大地震が起こるという情報がある。FM電波の異常という観測状況からと、 週刊誌などで報じられているそうだ。9月半ば過ぎということで、今日か明日かということになるが、 確実なのかどうか分からないとタカを括っている人もおれば、不安で食事ものどを通らない人もいる。
 友人に、予知連絡会の委員がいるという人は、こっそり教えろよといったが、それだけはダメだと断られたという。
 また、別の人によれば、こういう"判断"材料もあるという。何でも、やんごとなき方々が、だれも東京を離れていない場合は、 要注意であるという。で、その方々が地方へ行かれているかどうかは、新聞等で日程が知らされるから、 "予知"できるのだそうな。
 ということは、首都圏では地震はないということかしら。あるいは……。 いずれにしても、"予知"は"ヨチヨチ歩き"の域を出ないのではと、思うことにしよう。

「新米、古米、日米!?」
 ブランドに弱い日本人を欺くのはやはり日本人?!
 コシヒカリなど産地名入りの銘柄米は、実は国産米とのブレンドだったり、インディアカ種の含まれるものもあったという。 また、米国産の輸入古米を混ぜた福島産のコシヒカリと偽って販売した業者も摘発されている。
 また、洗わなくてもいい(環境にやさしい?)無洗米が一時は"有洗米"より高かったのに、最近安くなっているのは、 ブレンドだからではないか。
 さて、ことしは冷夏続きで、米は全国的に不作(宮城県では、実が入らない水稲は30%に達するという〈平年は5〜10%〉)。 そこで、新米が高騰するのではと、先回りした政府は昨年産の備蓄米を放出するらしいが、残るのはそれより古いものとなり、 そのため古米を敬遠することになれば、新米が高騰するという"図式"もあるそうだ。
 ややこしい話だが、日本人はブランドとブレンドの、区別もつかないようだから、どっちでもいいのではないか。
 "実のない新米"の記事の隣に、こんな話もある。「週3日勤務で1000万円/札幌刑務所など 医師に水増し給与」は、 道内11箇所の矯正施設で、週に2〜3日しか勤務していない北大OBなどの医師16人に、 常勤医師としての給与年間約1千万円を支払っているというもの(03・09・05東京夕刊)。サジ加減は、医者だけではない!
 悪いことをしても、刑務所には入らない?(いや、始めから入っている!?)

「警察官の増員で、増えるのは?」
 日本の警察官は、先進6カ国のなかで、いちばん負担が大きいと、警察庁が発表したそうな。
 一人の警察官が何人の国民と対峙するかではなかった、"面倒"を見る計算になるかという比較で、日本533人、英国395人、 米国385人、ドイツ315人、フランス293人、イタリア276人となっている(日本は03年、米国は96年、他は99年の数字)。 一方、国内比較では、最多は長野県警で712人、最小は警視庁の288人という(03・09・11東京夕刊)。 02年度から、5年間に2万人の警官を増員する計画も進んでいる。
 なお、京都府警418人、大阪府警442人、福岡県警501人が低い(警官が多くいる)ほうだから、 大都会をもつ自治体の半数近くはかなり恵まれているわけだ。
 問題は、他国と比べてどうする? ということである。国民の多くは犯罪の検挙件数が低いこと、治安の悪さなどを挙げて、 もっと警官を増やすべきだと読み取るだろう。名古屋の自爆事故は"追い風"となったようだが、 しかし警官の不祥事があとを絶たないことを忘れてはいけない。
 もう一つ、民間が、このように我田引水的に、外国の例を挙げて説明あるいは要求した場合、 「それはわが国とは関係ない」と一蹴されることも忘れてはいけない。

「学校現場では……」
 9月も半ば過ぎて、行方不明の女子中学生をみんなで探そうと、運動会を取りやめた学校もあれば、 熱中症で多くの生徒が倒れても、中止しなかった高校もある。
 文科省による02年度の調査で、小中高での指導力不足の教員が289人と前年の倍近くもいたという。 基礎的な知識や技術不足、個々の児童の実態を把握できなかったり、黒板のほうを向いての授業ばかりでは、 生徒諸君は、やってられませんな。
 親はどうか。小学校の授業参観では、携帯電話で話したり、ビデオでわが子を写したり、 私語をしたりとは中学生の投書「子は親を見て育つ」にあり、高校の文化祭に事寄せてバザーを担当した母親たちは、 教室の外を行く(劇に出演する)女装の男子生徒の姿に、みんなでキャッキャ騒いだりと、自覚欠如は子ども以上だ。
 一方、中教審の中間報告が、子どもたちの栄養の偏りや食物エネルギーなど「食」の改善のために、 「栄養教諭」の創設を提言したのは、自民党文教族の圧力らしい。 現実には、給食でのアレルギー体質の子がイジメられる問題が起こったり、個別の対応を行う学校もあるというが、 根本問題に目をつぶって、なにが改善か。給食は止めるのが最善の策だが、給食産業は同省の"圧力"団体である。 また、偏食の子を治すのは家庭の問題であって、学校の仕事ではない。
 存廃を取り沙汰される文部省(文科省)だが、養老孟司氏は近著『バカの壁』で言う。 「赤ん坊の脳調査 こうした調査は、数千人単位、すなわち国家規模で行わなくては意味が無い。 実は教育の問題というのはこうした科学的な調査をきちんと行わなくてはいけないのに、殆どそれがなされていない。 (中略)文部科学省の役人に払う給料があったら、省を潰してこちらの方に回したほうが、よほど役に立つはずです」 (新潮新書p173)。役に立たないことをするのが、役人?!

(以上、2003・9・17までの執筆)


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