似非エッセイ目次

似非エッセイ 2003年5月上旬号

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「ブッシュの野望(ヤボ)」
 イラク戦争の終結宣言をしたブッシュ大統領だが、再選を確実にしたかと喜んでいると思いきや、 その反対だという。湾岸戦争に勝利後のパパ・ブッシュの9割近い支持率には及ばないものの7割を超えながら、 なぜか。失業率が高い上に、与党(共和党)の中から、アフガン戦争は正しかったが、イラク戦争は (大量破壊兵器が見つからず)失敗だったと反旗を翻すものが出てきたのだという。
 ところで、ボク・ブッシュの野望は再選後に、弟のテキサス州知事に後を譲りたいのだという。 それは投票用紙の計算を何度もやり直し、自分を大統領にしてくれた弟に報いたいからだそうだ (数が少なければ、民主党のゴアが大統領になっていた)。
 国家の私物化である。これでは、ボク・ブッシュがやっつけたり、 これからやっつけようかという"ならず者国家"とどこが違うのか。
 したがって、日米同盟だの、日本の国益だのと言い、ブッシュを支持しない日本人は"非国民"だといわんばかりのS新聞など、 この程度の大統領をどう"評価"するのだろうか。
 この戦争は、イラクの石油利権獲得が目的、かつ軍需産業の支持を取り付けるのがねらいだった。 人権を"錦の御旗"にしただけの、ブッシュ一家がアメリカを支配するための"戦争"を支持して、 日本に何の国益があるのか。かの新聞などは、はっきりと「日本は51番目の州」と宣言したらどうか。

「新聞記者のモラル」
 イラク戦争の取材を終えて、帰国する毎日新聞記者(カメラマン)が、ヨルダンの空港で飛行機に搭乗する際、 戦地で拾ったという手投げ弾を"土産に"と持ち込み、手荷物検査の最中に爆発し、死傷者を出した事故は、 飛行中の爆発でなかったことが不幸中の幸いであったといえる。
 それを報ずるに、「分別のある記者が、なぜ」と書き出したS新聞にはびっくりしたものだ(5月3日付27面)。 いつから、S新聞社を含め新聞記者に"分別がある"ことになったのだろうか。だれが、そう認めたのだろうか。
 では、政治家は? 裁判官は? 警察や官僚は? 大学はじめ教職者は? その職業についておれば、 "分別ある"ことになるのだろうか。
 外国のメディア関係者も、博物館などから貴重な美術品を持ち出していた、という話だが、 "人間"のやることはこの程度である。本などを万引しても、返せばいいのだろうぐらいにしか考えないのは、 若者だけではない。
 S新聞の"見解"は、多分こうである。同業でも、わが社の記者はそんなことはしない。 進歩的な論調をしながら、(ライバルでもある)新聞社の社員ともあろうものが、分別もあるだろうに、 何てことをするのか! と嘆いているフリをして、貶めている図である。これを称して"夜郎自大"という。

「テレビ局のモラル」
 福岡市で、小学生が見知らぬ男に、いきなりガソリンをかけられ、大やけどを負ったのは12日の朝だった。 翌朝、改めて「これはヒドイ!」と思ったのは、その"凶行"をとりあげるテレビ欄である。
 早い順に、8ch・5:25「めざましテレビ」通り魔か小学生に火、 10ch・5:50「やじうまプラス」通学中の小学生に火、 6ch・6:00「ウォッチ!」緊急報告"死にたくない"住宅街で小5男児が登校中に背中に火をつけられ重傷、 再び8ch・8:00「とくダネ!」謎深まる小5男児に放火1死にたくない…火だるまで200b逃走 2ほぼ同時放火飛び降り自殺の謎、同じく10 ch・8:00「モーニング」恐怖悲鳴登校小5生火だるま、 4ch・8:30「情報ツウ」通学中惨劇卑劣・10歳男児に火1"死にたくない"悲痛涙で訴え2凶行後逃走残虐犯のナゾ と、朝5時から9時ごろまでに4局6番組で、さらに11時半から2時過ぎにかけて、 残りの2局が繰り返して取り上げる有様。
 どの局も寄ってたかって、"悲劇"を報ずるのは、国民の知る権利のためという"大義名分"を隠れ蓑の"集団いじめ"でしかないが、 いずれも名のあるスポンサー付であろう。なかには、容疑者が"死んだ"ことにした局もあった。
 もっと無神経なのは、「"死にたくない"悲痛涙で訴え」という陳腐な表現である。 こういう恐怖と痛みを受ければ、大人でも泣きたいであろう。 "記事"となるのは、「子どもながら、気丈にも歯を食いしばって泣かなかった」などという場合だけである。
 一方、大多数の日本人は、"お可哀相に"と思いつつ、テレビを消すことも、 そのスポンサーの商品の不買運動を起こすこともない。
 むかし「ペンの暴力」、いま「メディアスクラム(集団的過熱取材・報道)」と批判はするものの、 要するに「他人の不幸は蜜の味」だからである。
 "明日は我が身"と考えない日本人の住む、この国は狂っているとしか言いようがない。

「近ごろ、都で流行るもの」
 ファスト・フードの店や居酒屋での、サービスのつもりらしい接客マニュアルは、だれが考え出したのか、 今やまったく画一的である。
 "接客"といったが、現実にはドアが開けば、一斉に「いらっしゃいませー」と尻上がりに、 客も見ずに声を出すだけのこと、誠意のカケラもない。
 これでは、"パブロフの犬"なみである。客も飼いならされたらしく、「何名さまですか?」と問われて、 「2名さま」などと答えている。
 それに、さいきん、奇妙なものが加えられた。
 スーパーなどで精算をすませた後、レジ係の"揉み手"もどき!? の仕草である。
 マニュアルだから、守らなければ、この不況時代、クビになったら困るのかもしれないが、大の男が、 無様な格好で"揉み手"もどきは、かなり気持ちの悪いものである、という自覚はないのか。
 「ありがとうございました」「また、お越しください」などといいながら、軽く頭を下げるだけで、 よいのではないか。
 女もすなる、男もしてみんとてすなり、と言って、『土佐日記』を書いたのは紀貫之だったか!? (実際はこの逆、念のため)

「PTA日記」
 思いがけなく、この4月から都立高校のPTA役員に推されてしまった。 息子は2年生であるから、たっぷり2年間付き合わされる予定である。
 私より一回り若い会長は働き盛りの男性で、二期目を迎える。PTAは男の少ない組織であるが、 彼が続投するというので、"不服ながら"副会長を引き受けた。 もう一つ、やる気満々の女性が副会長をやるだろうと思ったからでもある。
 役員を経験された方はよくご存知であろうが、会長、副会長2名、書記2名、会計2名がP側の役員である。 さらに、広報委員長や学年委員長(学年・クラスごとの委員も)、それらにT側の校長、教頭、事務長、 先生数人が入り、各委員会にも先生が加わる。
 役員・委員長・校長らに広報・学年各正副委員長も参加する総務会は、クラスが多いせいか総勢三十数名となる。
 とにかく、組織も会議運営も複雑である。総会が終わった今でも戸惑っている。 同日夜の、新旧役員の歓送迎会は、はじめから"無礼講"の様相を呈する。二次会は、カラオケである。
 宴会が好きなだけか、大人の世界だからなのか。もっとも、今や高校生たちもカラオケに繰り出し、 うさ晴らしをする世の中である。
 また、彼らは"オールする"といって、文化祭などの終わった夜には"打上げ会"と称して、 男女混合で徹夜をする時代である。その時、ケータイは便利である。一人二人の親から、 早く帰って来いと言われれば、一人減り、二人減りして、仕方なくみな家路につく年ごろでもある。
 一方、表面は和やかでも、大人の世界には様々な問題があるらしいことが分かってきた。 何ごとも勉強であると思い、時折「PTA日記」をお送りする次第。

(以上、2003・5・14までの執筆)


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