からむコラム 2002年6月下旬号
「フーリガン対策は"周辺有事"の予行演習?」
サッカーWカップをめぐる話題の一つに、フーリガン対策があり、開催地は多くの人が集まる経済効果を期待する一方で、
招かざる客"フーリガン"に怯えていた。
しかし、警察官を動員して厳戒体制を敷いた割には、来日外国人による問題はほとんど起こらなかった。
その代わり、日本代表が決勝リーグ進出を決めると、900人以上が道頓堀川に飛び込むなど、
日本の若者が騒ぐという付和雷同型の現象が起こった。
この閉塞状態に、たまには若さを発散するのもいいじゃないかと理解を示す人がいるのは、
やはりお祭り好きの日本人気質か。
あるいは、戦争末期、沖縄戦で米軍に追いつめられた婦女子の悲劇(集団自決)を知らないからか。
ところで、フーリガン対策を今国会で審議されている有事関連法案にからめて言えば、
人々の心に"仮想敵"を生じさせ、知らず知らずのうちに恐怖感に陥れ、いざという時、
有無を言わせず戦時体制に組み込むという"予備作戦"としては、成功したのではなかったか。
つまり、有事関連法案は戦争ごっこの好きなブッシュ坊やに気に入られようとする小泉首相らの"悲願"のようにも見えるが、
不況を打開する手っ取り早い手段が、軍需産業の振興であることを忘れてはならない。
「日本人は飽きっぽく、忘れっぽい!」
もう一つ、サッカーWカップの日韓共催で、若者を中心に両国の相互理解、
文化交流が盛んになるだろうと言われ、それを期待する世論もあった。悪いことではない。
しかし、事はそう簡単には運ばない。音楽その他の文化交流が盛んに行われる一方で、
日本が決勝トーナメント1回戦でトルコに敗れた瞬間、ソウル市内の大スクリーンで見ていた韓国人から一斉に拍手が起こったという。
これを知った日本の若者は「とてもダメだ」と思ったと話す。
"ともに決勝トーナメントに"と願ったのは、お人好し日本人だけだった。
少し話は変わるが、日本代表に中村俊輔が漏れると、「日本は勝てないよ!」と、
この人気者のファンならずとも口にし、選考経過を明らかにせよという声には呆れた。
どんな理由であれ、指揮官がその経過をいちいち説明しては、戦術を天下に公表するようなものではないか。
そして、負け知らずで決勝トーナメントに進出が決まると、もうだれもシュンスケを話題にしなくなった。
「トーナメント進出で代表23人に特別ボーナス1千万円(一説には750万)が出るよ」と私がいうと、
カミさんは珍しく「シュンスケがかわいそう」とのたもうた。
もらえないのは、俊輔ばかりではないのに(ちなみに、ベスト4に進出した韓国代表には6千万円の由)。
その後、さすがトルシェジャパンだとか、感動をありがとうなどと、いま流行りのフレーズが巷に氾濫したが、
問題はこれからである。トルシェは監督失格だとか、俊輔がいれば勝っていたのになどと、
悪口だか恨み節が出る一方、サッカーも日韓交流も忘れてしまう……。
「サッカーかプロ野球、いや巨人とどっちが大事?!」
日本人の七割は保守的である。プロ野球ファンの七割は読売巨人軍のファンである。
したがって、六千万近くの日本人が巨人ファンである、という計算があるようだ。
私自身、「東京にいて、なぜ巨人を応援しないか」と、地方の人にいわれたことがあるが、
巨人ファンは全国区である。
多くが保守的で、巨人ファンであるがゆえに、日本人は大人しく従順でノンシャランとしており、
革命も暴動も内乱も起こらない状況にある。
身内に事が起こらない限り、騒ぐでもなし同情するでもなし、読売巨人軍が勝つか負けるか、
いや"常勝巨人"でなければならないだけである。
人間は元来、保守的な存在である。思想信条が革新的でも、多くはいまの生活に安住する中での"革新"であろう。
ところで、巨人ファンは作られたファンである。
生まれながらのファンだと反論する人もいるだろうが、古くはラジオ、いまテレビ、
そして読売新聞のおかげでファンにさせられたのである。
電波は公共のものというが、テレビ実況は巨人中心で、スポンサーの大企業も相乗りする。
無名会などという有力財界人による巨人ファンクラブもある。
パリーグはもちろん、ほとんど他のチーム同士の試合を見ることができない。
セリーグの5チームも巨人のご都合次第での組合せである。
だから、国民の大多数は、巨人以外の情報をあまりもたない。これを世論操作という。
だが、4年に1回のサッカーWカップが日本で開催されるとあって、巨人戦さえも開始時間を繰り上げたり、
日延べしたり、放映を途中で切られたりと巨人ファンを怒らせたようだ。
サッカー放映はNHKを中心とした"国策"であるが、その前に巨人戦でさえ視聴率が落ちているという現実を、
巨人ファンは認めたがらないという、保守性が根強くあることも事実だ。
だから、こういう国民性は、いつでも一億総何とかとなるからコワイのである。
「電子投票・18歳から投票権など、地方自治は花盛り!?」
1)岡山県新見市は、6月23日の市長・市議選で全国初の電子投票を行い、
開票作業は25分で終わったそうだが、ITアレルギーを起こした住民は多く、
不在投票がこれまでより増え、その開票には手間取ったという。
試行錯誤はまだ続くのだろうが、この岡山県は何かと先進県ではある。
昭和62年にカラオケの第1号が出現したのは同県の農家の庭先であり、さらにその前、
全国初の"図書規制"条例が昭和25年5月に制定されている。
2)6月24日、住民投票などで、18歳からの投票権を認めたのは愛知県高浜市で、
永住外国人にも門戸を開いたこととあわせて、全国の耳目を集めた(一方、滋賀県志賀町では同日、反対多数で否決されている)。
若者の政治離れを口にする前に、20歳という中途半端な年齢より、結婚もできる18歳以上を成人とし、
選挙権を与えれば政治に関心を持つようになる。
また、政治家も青少年に関心を持たざるをえなくなるのは、過去の歴史が教えるところである。
政治家は、大人たちのいう"青少年問題"には関心を寄せるが、"青少年"に関心がない。
彼らに選挙権がなく、「票にならない」からである。
3)静岡県浜松市では、次年度分から予算を残すと報奨金を出すことにしたという。
新聞が、地方自治体の財政難が深刻化するなかでのケチケチ作戦などと書くのは大間違いで、
同市市長のいう「経費は少なければ少ないほどよい」のである。
中央・地方を問わず、"年度末に道路を掘り返す"のは、年度内に予算を使い切らないと、
次回から減額されるという悪しき慣習であり、どうせ税金だから、使っちゃえという、
必要経費の認められない"役人"根性からであろう。
「情報を放置して、戦争を始めたブッシュ政権」
最近、人気が落ちたのか、ウサマ・ビンラディンの消息を、ブッシュの口からもマスコミからも聞かないと思っていたところ、
「『ビンラディン氏は生存』/アルカイダ HPで対米テロ予告」(6月24日東京)とあり、
"健在"のようである。
一方、このところ、アメリカ当局の「9・11」への対応の甘さが暴露されている。
米連邦捜査局(FBI)の上層部は、その1か月前の「9・11テロ」の予兆をうかがわせる現場情報を握りつぶし、
捜査しなかったという内部告発や、その前日、米国家安全保障局が「アルカイダ『あす攻撃』」という通信を傍受していたにもかかわらず、
英語に翻訳されたのは12日だったというのである。
これが、慌てたブッシュを戦争に駆り立てた"真相"だろうか。
後者に関し、ブッシュ大統領は、情報当局の秘密情報がマスコミに漏れたことに激怒し、
ホワイトハウスの報道官は、「テロとの戦いの情報収集に障害が出かねない漏えい」といったという(6月20日東京)。
翻って、わが福田官房長官の場合はどうか。
「非核三原則見直し」発言が国会内外で大問題となると、「書いた記者を責めなければいけない。
今の若い記者には、かんで含めるように一から話さないと、真意を理解してもらえないのかと反省している」などと、
責任をマスコミに転嫁したとか(6月5日東京)。どこか、似ているではないか。
オフレコ懇談という"制度"に問題があるとの指摘もあるが、「政府首脳が、都内で記者会見をし…」などと、
奇妙な表現を平気でする新聞の無神経さにも困ったものだ。
(以上、2002・6・25までの執筆)
kenha@wj8.so-net.ne.jp