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飽きずにエッセイ2005年12月上旬号

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「電話アンケート、の真実」
 案の定、姉歯センセイの耐震計算書の偽造問題は、彼だけでなく建築業界に飛び火した。みんなでやって、 やっぱりバレたかというどころか、責任のなすりあいは日本人的ですなあ。いずれにしても、欠陥マンションの住民は生きた心地もしないことだろう。 「安物買いの銭失い」というコトワザもあったが、"いのち"までとは…。
 いやいや、そんなのんきなことを言ってはおれない。政府が公的支援策の導入を発表したが、"強度"の線引きで、 資金を受けられる人とそうでない人(勝ち組か負け組か)で、また大騒動が起こりそうな気配?!
 一方、警視庁に告発された、わが"主人公"アネハ先生は本日の衆院国土交通委員会の参考人質疑にも欠席しそうで、 ついに"二休"建築士となるのか?! 彼にはどこかの首相のように、強力な"姉さん"がいなかったのかしらん。
 さて、そんな折、わが家にも2度目の電話アンケートがやってきた。前は9月の衆院総選挙のときだったが、 今度はこの耐震問題で揺れているさなか、業者団体か政府関係かは分からなかったが、タイミング?よいといえる。
 しかしである。そのやりとりを再現すると…。ささやくような女声がゆっくりと、「あなたは地震対策をしておりますか?  ・・・している場合は、数字の1を押してください。・・・していない場合は、数字の2を押してください。・・・ありがとうございました・・・」。 どうしてわが家の電話がプッシュホンだと分かったのだろう。個人情報が漏れている?!
 何千か所に電話をかけたのか知らないが、わが家の場合は実はルス電である。 これで真っ当なアンケート調査ができれば気楽なものだが、留守電に入れて、どうする?!

「性悪説? 性善説?」
 「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」という親鸞聖人の言葉を知ったのは、中学生のころだったか。 これには悩みましたね。宗教学校でもなく、道徳教育もなかったから、習ったのはたぶん社会科(日本史)の授業であろうか。
 「善人でも往生するのだから、まして悪人が往生しないはずがない」とか「善人はもちろん極楽往生することができる。 悪人は善人より苦しんできたのだから、極楽往生するのが当然だ」などと解釈されているようだが、 では、凡人の私はどちらなのだろうかと、悩んだわけですよ。
 急に少年時代を思い出したのは、次のような発言に接したからだった。例の耐震計算書偽造問題に関連して、 「欠陥住宅を正す会」のある弁護士は「地場産業だった建設業界は、きちんとしたものをつくらないと問題になり、 業者のプライドも傷ついた。それだけ性善説が通用する世界だった」が、いまや"性悪説"の世界と見なさなければと(東京11・30)。
 なるほど、業界に批判的な人でも、信じようとしていたんですなあ。私など、どの業界ともあまり縁はないが、 総じて日本社会は性悪説で見たほうが分かりやすい。そう思えば、振り込め詐欺や息子が痴漢などと騙されても、 諦めやすいのではないか?! ともあれ、銀行も生保も自動車販売会社も石油ストーブを売った電器会社も、顧客は二の次、 利益追求が目的、やれ株主が大事などというのは方便ではなかったか。成田空港公団などという官制談合も跡を絶たないし…。
 そういえば、コイズミ総理のいう国益とやらも国民のことなど考えていない。牛肉輸入再開の問題にしても、 基地移転問題にしてもアメリカの都合でしか動いていない…。これなど「性悪説・性善説」ではなく、 「天動説・地動説」で見たほうが分かりやすいのかもしれないが。
 さらに、学校の先生も警察官や中央官庁の役人も、民主党の"非弁"センセイはじめ代議士だって、 ただの欲深き人間であろうから、十把一絡げに性善説で括られては片腹痛いのではないかしらん。
 また、下校時の小学1年生女児の被害も心痛むが、給食以外の食べ物も口にしているようで、事件は意外な展開も予想される。 もうそろそろ、「あの人は真面目で、いい人だ」とか「うちの子に限って…」などという性善説的な発想はやめたほうがよいのではないかしらん。
 モウゼの十戒ではないが、そもそも人間は"邪悪な存在"である。それを自制するのが"真人間"ではないのかなどと、悟った振りをしておこう!?

「国債という信用は…」
 ついで、国債=国の借金について、これも私にダイレクトメールが来たのですよ。
 要は、郵便貯金の利用総額が限度額を超えたため、それを限度内に戻すようにとの"ご通知"である。 零細な私にも"日本国"から文書が来るとは夢にも思わなかったが、日本郵政公社の文書(平成17年3月23日付)に 「…順次、預入限度額以内となるよう郵便貯金の一部を払い戻して国債を購入しています」とある。 国民ひとり一人の貴重な財産を、国は勝手に"歳入"としてもよいというんですかねえ。
 私は急いで預金の一部を他の金融機関に移したが、さて、これからが本論。
 60数年前、日本は"米英仏蘭支"を相手に戦争をしていたが、飛行機や船を造る鉄鋼もおぼつかなければ、 それらを運航する石炭も乏しいという状況だった。しかし、大和魂のもと、「撃ちてし止まむ」日本人はこぞって、 大本営発表の輝かしい戦果を信じ(込まされ)、勤労奉仕はおろか勤倹貯蓄に励み、先を争って陸海軍への献金献納に励み、 さらに兵士たちへの慰問を目的の恤兵金をも出す健気さだった。
 振り返ると、輝かしき紀元2600年を迎えた昭和15年の5月に、第1回報国債券が発売され、 国策協力のためという1等1万円の"夢"の富くじ(1枚10円)が人気となり、総額2500万円を1日で完売したという。 ついで、10月には月給から税金の源泉徴収が実施され("天引き"とは言いえて妙!!)たのは、 戦争遂行のためには貯金や献金だけでは足らなかったからである。 そして、終戦の年7月15日に富くじ「勝札」(1等10万円)が8月15日まで売り出され、同25日に抽選の予定であったが、 国破れて…反古となった。
 いま、国債の発行額(借金)は、国民1人あたり612万円となっているそうだが、 今年度末には888兆円となるほか地方債が205兆円となり、一人あたり856万円の借金となるのだそうな。 師走のいま、個人国債を買えと政府はPRに躍起である。預金より利率が高いからと、手を出す人も多かろうが、 相変わらず日本人は懲りないんですねえ。
 ついでに申せば、日本人の、だれかがやってくれるだろうというDNA(他力本願)は、 先の"天引き"を当たり前だと思っている神経に通ずる。自分の稼いだものから勝手に取り上げられても平気でいるなんて、 あのイラク人質事件で噴出した"自己責任"論は、どこへ行ったのでしょうかねえ。

(以上、05年12月7日までの執筆)


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