飽きずにエッセイ2005年2月下旬号
「サッカー、対北朝鮮戦」
2月9日のサッカーワールドカップ最終予選の一つにすぎない「日本−北朝鮮」戦、大方の予想どおり?
善戦の北朝鮮に対しジーコ・ジャパンは硬直して負け戦寸前、大黒選手にかろうじて白星を拾ってもらった次第。
たかがスポーツではないか、「勝ち負けは、今後の日朝関係に影響はない」などと、細田官房長官がぼそぼそとつぶやいていたように、
勝っても負けても気が気でなかったんでしょうな、コイズミご一統は。もっとも、日本人も在日の人たちも、
ホンネは「引分けてほしかった」ようだ。
さて、試合の前日まで、「謎のチーム」などとことさらアンチ北朝鮮ムードを煽ったのは、近ごろ何かと目立ちたがり屋のNHKであった。
つい2,3年前まで、放送するときは必ず「北朝鮮(こと)、朝鮮民主主義人民共和国」とご丁寧だったのが、
金総書記が拉致の事実を認めたからか、(こと)以下を省略するようになり、"攻勢"に転じたのかどうか知らないが、
これなどもNHK流"公正中立"の範疇なのでしょうな。
たぶん、拉致問題で奔走した、幹事長代理時代の安倍さんに"事前に"お伺いを立てに行ったのでしょう?!
それにしても、日本人サポーターの中に日の丸に混じって、赤い日の丸から十数条もの光が出ている海軍旗(十六条旭日旗というらしい)のようなものを振っていたものがいたが、
なにを好んで、このようなものを国際試合で振るのか。
好戦国ニッポンを印象づけたいのか、時代錯誤もいいところだと思いきや、イギリスのヘンリー王子もナチス・ドイツの制服を着て、
仮装パーティに出て顰蹙を買い、父チャールズ皇太子(現・カミーラ夫人の"夫")に、ポーランドのアウシュビッツ強制収容所を見学しろと命令されたとか。
ちなみに、英国で昨年16歳以上の4千人を対象にアウシュビッツについて聞いたところ、45%が「聞いたことがない」といい、
35歳以下では6割に上ったという。
やはり洋の東西をとわず、若いものは歴史を勉強しなけりゃ、次代を任せられない!!
「NHKの、迎合主義だけか」
つぎも、やはりNHKとスポーツ。
12日(土)午後2時からのラグビー日本選手権準々決勝「トヨタ自動車−早稲田大学」戦の実況放映を中止すると、
いったんは発表したNHK、こともあろうに世論の圧力に屈して、前言を翻して放映したという。
"通常業務"として事前説明し、政権党(自民党の安倍・中川ら)の介入に屈するだけでなく、聴視料を払っているかどうかも分からない"世論"に屈するとは、
ほんとうに節操も哲学もない放送局ではある。
ことの発端は、ラグビー協会が放映契約に違反したということらしいが、なに自分たちNHKと朝日新聞の"戦い"を忘れてほしくなかっただけではないか。
ジャッジ(審判)の着るジャージーの胸に広告主「朝日新聞」のロゴが入っているというだけで、ラグビー協会に文句を言い、
かつジャッジの写る画面をロングにしたとか、およそスポーツ放送らしからぬ対応は、NHKも進退窮まった証拠であろう。
しかし、これはスタンドプレーであろう。でなければ、彼らNHK幹部の考えるバランス感覚いや、
"公正中立"を証明しようとしたに過ぎない。
残る2試合を予定通り放映するというNHKに対し、メジャーリーグの放送で、いつも「読売新聞」の広告が写っているが、
あれはどうなのか、という陰の声もある。NHKはほんとに節操がない!?
ところがである。従軍慰安婦問題の放映をめぐる"裁判"が、とんだ方向に飛び火して困っているのは"従軍"記者いや"従順"なはずの読者にあぐらをかいていた朝日新聞も同様であるらしい。
この騒動が始まってから、朝日離れもはなはだしく、アサヒのビール券を十数枚ちらつかせて、他新聞の契約者を奪おうと必死だそうだ。
NHKと同様、早く"ドロー"を宣言してくれるジャッジを待っているらしい。
ともあれ、ラグビー協会は、観客が集まらないこと〈=収入不足〉のあせりもあるそうだが、
視聴率は2.5%だったというというのは、なにの影響かしらん。
「議論の行方は…」
久しぶりにインターネットで"橋本健午"を検索したところ、「東京都青少年健全育成条例改正に反対する署名活動開始しました」というHPに、
私の"発言"に関する批評が載っているのを発見した。
ほぼ1年前のことであるが、「名無しさん@19歳 投稿日2004/03/02(火) 18:40」が問いかける。
「有害規制監視隊になかなか興味深い事が「新文化」に載ったという橋本健午氏のコメントに注目。日付は2月12日です。
彼は『包括指定反対ではなく、包装義務化反対にしといた方が良かった』って言いたいんだと思いますが。どうなんでしょうかね」
(⇒この『 』内の解釈は、読み違えである。「包括指定」は、雑誌の内容を1冊ずつ吟味する「個別指定」に対し、
性表現が条例で決めた一定の割合以上を占める場合に"有害"であるとする規定で、その雑誌は特定されない。後述)
これに対し、「情報人K」氏が答える。「興味深い意見です。包装義務化反対という点は異論は無いですが、
包括指定賛成という点は、戦略的後退と解釈しても後退しすぎではないかと。/橋本健午氏は、有害図書問題について私たちよりもずっと長い期間取り組んできた大先輩ですので、
反論し辛いのですけれど。/橋本氏の論旨の前提には、「包括指定見送りの代わりに雑誌の包装が義務化された」という立法取引があったとする認識が含まれているようですが、
包装義務化は前田私案の段階で「個別指定制度の強化」のひとつとして盛り込まれていました。(A)/(中略)
/個別指定では育成審による条例審査がありますが、包括指定は職員の解釈で指定適用できます。
包括指定の法令適用は個別指定よりもルーズであり、問題が大きいです」
さらに、「情報人K 投稿日2004/03/03(水) 05:58」は、次のようにいう。
「また、橋本氏の論旨の前提には、『ほとんどの自治体が包括指定を導入したことで指定件数(全国)が大幅に減少した』という認識が含まれているようですが、
個別指定件数は減りましたが、陳列撤去、収納撤去、自販機撤去などの措置命令件数は、包括指定制度創設前よりも増えている府県が多いようです。
/個別指定件数が減っても、個別指定されなかった図書は包括指定図書として指定図書扱いになるので、結局トータルでは指定図書は増える計算です。
(B)/ちなみに、措置命令件数が減った道県もありますが、なぜ減ったかというと、一斉調査や定期調査の事業予算を減らしたので措置命令件数が減ったのです。
/(中略)/逆に言えば、予算があればあるほど、たくさん調査して、たくさん措置命令を出して、規制の実効性を上げることができます。
どんなに強行な規制があっても、予算が無ければ規制の実効性は減ります。(C)」
意見が求められているわけではないが、私の「新文化」における論旨は、(A)に関し「青少年に有害でもなんでもないものを、
当の出版業界も含め"俎上に乗せる"こと自体がナンセンス」という前提で、(B)については、(書店等の棚に"有害図書"があるかもしれないという、
脅しだけの)"包括規程"におびえる出版業界の理解不足が問題であると指摘したつもり。眼目は(C)で、
"職員4千人のリストラと財政再建に取り組む"石原都政を応援?! したまでである。
つまり、私が言いたかったのは「大のおとなが、子どもたちが頼みもしないことに、余計な口出しをするな!」ということである。
(参考:「『始めに規制ありき』か?/不健全図書『包装義務化』条例に異議
/インターネットは放置 出版規制は弱いものいじめ?」新文化2004・2・12)
「"調査能力"とは」
民主党の永田寿康議員がいうには、自民党の伊藤公介議員と議院会館で立話をした際、「政治とカネの問題をこれ以上、質問しない方がいい。
自民党は全調査能力を挙げて、あなたのことを洗っている」と"恫喝"されたらしい。
これはチンピラが口にする「おれは暴力団を知ってるぞ」程度の脅し文句に過ぎないが、相手がひるむことは間違いない。
このやり取りで分かったことが二つある。まず伊藤議員らに疚しい点があり、民主党議員側にも似た点があるだろう、
ということ。もう一つは、公安など警察関係の"調査能力"を、さも自分たちが持っていると錯覚しているところ。
警察は、自民党議員だって、洗っているという視点がないこと。本当に賢いヤツは、黙っていますよ?!
さて、われわれ一般人の場合はどうか。保阪正康の近著『昭和史 七つの謎』Part2(講談社文庫)の第3話「『陸軍中野学校』の真の姿をさぐる」の冒頭に、こうある。
「初めて会う人物のことは調べるよ」と、彼が取材相手にいわれたのは昭和50年代の終わりごろ、当時90歳を超えていたある将官に手紙を書き、
3週間のちに自宅に来るようにといわれ、訪問したときのこと。取材のあと雑談になって、その将官が自分の出身地や家族構成などをよく知っているのに驚き、
なぜそんなに詳しく知っているのかと聞くと、この2,3日の行動も知っているぞといい、それが当たっているのに薄気味悪さを感じたが、
「調べるのは昔、中野学校に関係していたから」と答えたという。
じつは、私にも似たような経験がある。これは5年ほど前。警察官僚だった人物に、青少年問題の取材で、
単に一言二言の印象を聞くだけに過ぎないものだったが、手紙を出した後、しばらくして電話をすると、
「あなたのことを調べたよ」というではないか。不愉快な気持ちを抑えて、会いに行ったが、
私に"前科"などなにもなかったせいか、ある人物についての"悪口"に近い話が終ると、後は戦時中の自慢話ばかりで、
閉口したことを覚えている。
さて、結論。いま個人情報保護だのなんだのと喧しいが、これらに見るように、ネットワークは昔から張り巡らされており、
いまから手を打とうにももう遅いのである。ただ、それは権力者でさえ、逃れられない性質のもの、どこのだれが、
密かに悪魔に魂を売るか。ただその一点にかかっている。もう一度いおう、本当に賢いヤツは、黙っている?!
お口直しに「おにぎり3個」をお贈りします。
この15日、都内のホテルで開かれた自民党衆議院議員の夫人たちで作る「LDP(自民党)ワイヴズ・ネットワーク」の新年会で、
コイズミ首相いわく「人生いろいろだけでなく、ワイフ(妻)もいろいろ。皆さんの努力があるからこそ、ご主人が精いっぱい、
国会で活動できる」などとあいさつしたあと、「私は、首相をやっている間は精神衛生上よくない。
国会がある時は(昼食は)毎日おにぎり3個なんです」と、ぬけぬけといったそうだ(余談:もう少しで「わいブス」と誤記するところだった、
この変な呼称。LED〈青色ダイオード〉の中村教授も困惑しているかも…)。
さて、問題点も3個。(1)自分のくだらない発言「人生いろいろ」を用いるセンスのなさ(普通は、他人の流行り言葉を使うのが"礼儀")。
(2)「首相をやっている間は精神衛生上よくない」そうだが、だれも頼んでいるわけではなく、かつ国民の精神衛生上もよくないから、
さっさと退陣すればよいのでは。
(3)極めつけは「おにぎり3個」。お姉さんが作るのか、秘書がコンビニから毎日見繕って買ってくるのか知らないが、
あるいは単に奥さんのいる議員諸公がうらやましいからか、それとも数年前に密かに仕入れた"米百表"をだれにも分けずに、
独り占めしているからか知らないが、一国の首相ともあろうものが、これでは!!
国民はは侘しさを通り越して、情けなくて泣いていますよ。そして、このニュースが外国に流れないように祈っていることでしょう。
(以上、2005年2月16日までの執筆)
kenha@wj8.so-net.ne.jp