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似非エッセイ 2003年12月上旬号

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「2階級特進+勲章!?」
 先月末、イラクで二人の外交官が殺害され、自衛隊の派遣にはいっそう反対論、慎重論が出てきたのに、 小泉首相は年明けに700人も派遣するという。
 自衛隊の上官は「(イラク行きを)強制はしない」と言っているそうだが、 「いやだ」といえば"非国民"とされるのがオチであろう。しかし、(死んでも)自ら志願したのだからという、 上官の責任回避は今に始まったことではなく、かつて特攻志願の際も、同じセリフを使っており、 いつの世も兵隊サンは浮かばれない。
 今回、亡くなった方や遺族はお気の毒だが、文民なのに、死ねば「2階級特進」し、さらに「勲章」授与とは!?  弔慰金も9千万円と自衛隊並みのようだし、あとは"美談"として教科書にでも載れば、もうほとんど"戦時体制"ではないか。
 ところで、二人とも熱血漢・行動力のある人らしいが、政府も報道機関も"英雄伝説"作りに大童のてい、 大学ラグビーの早稲田3連覇も、タイミングがよすぎた。ラガーマンは「進んで、志願しろ!」となるのではないか。
 また、奥参事官の出身高校の校長は、「学習などに懸命に取り組むことが、奥さんの志を継ぐことになる」 と生徒たちに呼びかけたという。「こんな立派な先輩がいたなんて」と、初めて知った後輩たちは大いに戸惑ったことだろう。
 かつての大東亜戦争(第2次大戦)中、銃後(国内)の人々は、かの校長のような言葉の暗示により"戦っている"意識下に置かれ、 勤労奉仕だけでなく、幼稚園児でさえ献納・献金に狂奔していた。そこには"反対"や"疑問"をさしはさむ余地はなかったのである。
 さて、派遣のための基本計画を、12月8日ではなく、翌日に決めたのはなぜだろう?  これも、8月15日を避ける"靖国神社参拝"と同じく、アメリカ人に真珠湾攻撃を思い出させないようにという、 コイズミ流の配慮だったりして!?

「自分は善人、他人は悪人」
 犯罪が増えた、子どもがさらわれる、怖くて歩けないなどと、各地での防犯カメラの設置が性急に進められている。 なかには、プライバシーに配慮して設置・利用基準を厳しくするなど、慎重な対応をするところもあるようだが、 単なる覗き趣味から、あるいは脅迫の手段にするなど、悪用する輩が続出するのは目に見えている。
 にもかかわらず、「東大阪市で防犯カメラ1千万台を、年間百万台ずつ10年かけて製造すれば、失業対策にもつながる」 という東大名誉教授の発言もある(先ごろ春日井市で開かれた全国安全都市首長サミットでの講演)。
 犯罪検挙率が全国ワーストワンだという同市には、「失業対策は犯罪抑止につながり、かつカメラの単価も下がる」と、 いいことずくめに聞こえるが、そんなことになれば、まさに監視社会の到来、ありていにいえば密告の奨励である。
 いや待てよ。携帯電話で勝手に他人を撮りまくる状況は、ほとんど公然たる"密告"社会ではないか。 すでに安全地帯がないのは、イラクの非戦闘地域と同じであるが、それに気づかないのが日本人である。
 性善説・性悪説という言葉がある。日本人の多くは、性善説を支持したいところだろうが、 現実はそうともいえない事件で満ち満ちている。さて、防犯カメラの設置推進派は、どちらの観点から、考えているのだろうか。 多分まちがいなく、性悪説であろう。
 であるならば、人は「(防犯カメラを)脅迫の手段にするなど、悪用する」に、ちがいないと考え、 結論は「防犯カメラはやめるべき」であるはずが、そうならないところに、日本人のご都合主義がある。

「不在者投票の増加の意味」
 先の総選挙では、自民党と民主党も健闘したが、真に勝ったのは公明党だという。
 いつものように候補者が少なく、必ず当選させただけに見えるが、自民党候補者への応援で、 支持母体の創価学会の組織票がモノを言った、そのカラクリは今回かなり目立った不在者投票の増加にありという。 投票通知をポストから失敬したり、棄権しそうな人から買ったりするなど、草の根の協力が行われていたそうだ。
 今に始まったわけではないだろうが、小選挙区の開票で、「自民と民主の候補者がせりあっている」場合、 関係者は(不在者投票で)創価学会の組織票があるから、「これはいただき」と断言したそうだ。 自民党も、何が何でも票の欲しいところ、黙っているだけでなく、弱みも握られているわけだ。
 保守新党の消滅で与党3党の枠組みが解かれた今、政局の行方を左右するのは民主党ではなく、 直接、政府に圧力をかける"平和の党"公明党だとなれば、大いに期待したいところだが、「イラク派遣」には賛成してしまった。ああ!
 もっとも、目を外に転ずれば、ロシアで、プーチン大統領の三選を実現させるために、 不正が行われると投票前からいわれていたことや、アメリカでの、ブッシュ2世の弟が知事を勤めるフロリダ州での不正行為も開票だけではなかった。 ロンドン市長のいうように「彼は大統領ではない」はずだが君臨している。だから、日本でも不正が許される?!

「言い訳4題」
 1)中高年による山での遭難事故が増えているが、11月下旬、千葉・房総半島でのハイキング"遭難事故"当事者たちも報道も、ひどかった。 "分別ある"大人が勝手に遊びに行っているのだから、放っておけばよいものを!  とくにNHKなど、大事故を想定しての"期待度"と"がっかり度"が、何度も繰り返し現場中継したことによく現われていた。
 案の定、大騒ぎの救助をよそに、彼らは「慣れているから動揺はなく、夜間は焚き火をし、いびきをかいて寝ている人もいた」と言い、 「コースは初めてで下見もしていなかった」ものの、「(野営した自分たちの判断は)間違っていなかった」と、 自慢げに言うではないか。しかも、焚き火をしていたとは! 山火事にでもなったら、どうするのか?
 2)経営破たんした足利銀行が一時国有化されたが、同行の役員OBいわく「(破綻の原因は)バブル期に拡大しすぎた。 ほかの地銀の二倍やった。どこもやっていたが、ほかが五十歩なら、うちは百歩も進んでしまった」という。 ホンネは、「悪いのはうちだけではない、"五十歩百歩"だ」と言いたかったらしい。 いっそ、足が利かなくなってとでもいえばよかったものを。
 サッカーのサポーターではないが、入れ揚げていた地元企業は、泣きっ面にハチ?!
 3)ホテル側の、ハンセン病患者の宿泊拒否の弁明「元患者であること直前まで、ひた隠しにした熊本県に責任がある」は、 開きなおりというより、日本人の本音"差別意識"が正直に出ていた、と見るべきだろう。 日本人のDNA、この種の問題の根は深い!
 したがって、私もホテルに泊まるときは「子どものころ、寝小便をした」こと、「時に、いびきをかく」ことや 「寝ぼけて、部屋を間違えた経験(これはウソ)」など、"ひた隠し"にしようと思う。
 4)選挙で当選したものの、「金は渡したが、買収ではない」との迷セリフを吐き、逮捕された自民党新人の近藤某代議士、 2期目で愛知県議会の副議長になったのも、今回の出馬の箔付けだったとか。
 さて、このセリフにウソはない! 秘書に金を渡したのは「買収をするための資金で、彼を買収した」わけではないのだから。 とはいえ、メッキは必ず剥がれるもの。
 それにしても比例代表で、次の自民党候補者が繰り上がるだけだから、個人は"犠牲"になっても、自民党は安泰というわけ、 比例代表制度はうまくできているわけだ。

(以上、2003・12・10までの執筆)


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