似非エッセイ 2003年10月下旬号
宮みや(ミエミエ)サギ」
大正時代に途絶えたという有栖川宮家の"末裔"だかに成りすまして、芸能人らを騙した男女3人。
いや、まったく悪知恵が働くものだ。
結婚披露宴の案内を出し出席させたばかりか、当然ご祝儀を手にし、
さらに"二人"と一緒の記念写真には1万円を取ったというのだから、大したものである。
"衣冠束帯"は高島式とかで、京都あたりの貸衣装屋から借りたのか、効果は満点であったのだろう。
世の中には、ダマす人とダマされる人がいるのは承知していたが、どちらが悪いのか考えさせられる……。
しかし、それらしく見える写真には騙されそうだが、テレビで見る素顔の男女は、
「有栖川宮家」を名乗ったことはないといいながら、女は相手のことを「殿下」と口を滑らす。
"殿下"のほうは、何を言おうとしているのか、しどろもどろの体たらく、"地"が出たのだろうが、彼らの浅薄さをそこに見た。
彼らには「下々の前では喋らない」演技が欠けていたのである。
次にやるときは、たとえば、かの国の"ドン"を見習え、と助言しよう。
「辞められない、止められない、カッパ…ならぬ」
前回も触れたが、道路公団の"ドン"藤井総裁は、長時間の聴聞の末、石原大臣から"解任"されたが、
それを逆手に、同大臣および安倍新幹事長を名誉毀損で訴えかねない勢いである。
老獪な"ドン"と若い大臣の勝負は、思うに、挫折を知らないもの同士の「売った、買った」の争いでしかなく、
"ヨーイ"のなかった、大臣側が不利なようだ。
一方、現・元の総理総裁の"争い"もあった。自民党は衆院選の比例代表候補に73歳定年制を導入し、
それを根拠に宮沢元首相は、潔く引退を表明したが、一方の大勲位"ドン"中曽根元首相は、
小泉首相のとつぜんの"要請"に「政治テロだ!」と、一時は反発し、引退を拒絶したが、公認は取れず、
また息子を後任にできなかったらしい。
これも老若、いや"抵抗勢力"の争い、どうやら今、老人のほうが元気。
テレビドラマでも言ってるじゃない、「それが、どうしたの?(エ・アロール)」
結論を急ごう! 若手を重要ポストに起用し、人気に便乗した小泉政権の選挙戦略も、
やはり"ヨーイ"(根回し)不足であり、柔道でいえば、二人の"ドン"の「合わせ技」で、一本取られ、
政権交代の可能性も出てきたのでは。
「視聴率、見せ掛けの"操作"」
日本テレビのあるプロデューサーによる視聴率モニターへの買収事件は、出るべくして出たという感じである。
民放の宿命は、主として視聴者に迎合し、どうでもいい番組をいかに高くスポンサーに売るかどうかで成り立っている世界である。
だから、調査会社の尾行なんていうやり方は、先の詐欺師に比べれば知恵もいらず簡単である。
130万円ばかりかかったそうだが、全部一人で出したという。それを信ずれば、やはりテレビ会社は高給なんだとなるし、
信じなければ、会社ぐるみと思ってしまう……。
しかし、年度末の預金高を競い、"記録"に止めるために、銀行はあちこちに頭を下げ、消防署は安全点検を事前に知らせ、
その日だけ基準を満たせば"合格"というお墨付きを与え、芝居見物を「講演会」と銘打てば、
"公費"が支給される世界もあり、もっとあからさまなのは、道路を掘り返す年度末恒例の行事に見られるように、
わが国では昔から"見せ掛け"が横行しているのである。
内容で勝負できないから、視聴率3冠王なんていい、しのぎを削るのは勝手だが、
それを「テレビの信用にかかわる」なんて、御託を並べる神経もズレている。
結局は、この不況時代に、スポンサーを喜ばせることになり、CMを渋る企業が続出し、それは全テレビ局に及び、
自ずから下らない番組は消滅する……わけがないことも、この国の特性である。ああ!
「ああ! このゲーム感覚」
会社員で25歳の父親が、泣き止まない生後4か月の長男を、ふたたび床に落として死なせたという。
23歳の妻はさいきんスーパーのアルバイトに出ており、不在のときに起こったでき事だった。愛知県春日井市でのこと。
うたたねをしているときに泣き出され、あやす代わりに床に落としたのは、以前、誤って落としたとき、
泣き止んだからだという。
"出来ちゃった婚"などというが、子どもが生まれたからといって、親になれれば世話はない。
落とす→泣き止む、などという短絡的な"学習"しか出来ない青年は、どのような家庭で育ったのか。
一方、母親も育児かお金か、遊びで悩んでいたことだろう、きっと?!
その前、同じ愛知県名古屋市では、18歳の高校生が、27歳の交際相手の息子に腹を立て、
わき腹を蹴るなどして殺してしまった。その上、事故に見せかけようと、
「いすにバケツを重ね、その上に乗って冷蔵庫の上にあった本を取ろうとして落ちた」と、
年上の女性と口裏あわせをしていたという。
語るに落ちる、とはこのことだ。4歳の保育園児が冷蔵庫の上の(どんな本か知らないが)見えるだろうか、
いすにバケツを乗せるだろうか? これもテレビゲームの感覚では?! 親は何をしつけ、学校では何を習っていたのだろう。
暴力を振るわれ、子どもを殺されても、相手をかばい、未練を残す"女心"も哀れだが、勝手に産み出され、
殺される幼児たちは、人生を振り返ることも出来ないではないか。
(以上、2003・10・29までの執筆)
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