似非エッセイ目次

似非エッセイ 2003年6月上旬号

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「電報は漢字が90%以上」
 病気入院中だった、知人の父親が亡くなったというFAXをもらった。 ご本人を知らないし、喪主(長男)とも面識がない。 告別式当日は朝から避けられない仕事があり、前日は遠方(通夜)には出かけられない。
 そこで、弔電を打つことにした。漢字書き・カナ書きの選択があり、基本料金(25字まで)は700円と490円。 ちなみに、文例は番号7506の42文字から(1060円・730円)、7705の99文字まで(2050円・1390円)の10例。 いずれも、届ける日の三日前までは150円引きだが、料金は消費税を加算される。
 さて、ここからがNTTの商売である。
 「えツ、カナ書きにするんですか。いま、90%以上が漢字ですよ」。「いや、カナで結構です」と私。 「分かりました。もう一度あて先からお願いします」。「……?」。 「文面を繰り返します。…デザインは、ウルシ電報の5000円から500円までありますが」。 「何もいりません」と私。「……?」とNTTのお嬢さん。
 文面は「オクヤミモウシアゲマス。ハシモトケンゴ。サッカ」(22文字)。 お嬢さんの問い、「サッカってなんですか」。「物書きです」。「はあ? 最後でいいんですか」。 「その通り」……さて、私はいくら払うことになるでしょう(税込357円)。
 これでも、目立たないように工夫したつもりだが、かえって逆効果かなあ?!

「人を"輸送"する?」
 今度は、JTBとの"論戦"である。もらった日程表には、「輸送のご案内」と大書してある。 "輸送"とは何ごとだと、怒るのは私ばかりではなかった。
  "出張"することになっていた私は、スケジュールに変更が生じたので、問い合わせのついでに、 FAXに添え書きをした。「貴社から見れば"お客"である我々に対し、"輸送"などという言葉遣いは、 無神経であり、失礼ではありませんか」と。
 担当者の上司という男性から電話が入った。 「このたびは失礼しました。……しかし、辞書にはモノだけでなく、 ヒトを運ぶ場合も"輸送"というと出ていますが」。 私「それはそうだが、人間として"輸送してやる"といわれて平気ですか。"交通手段"で、いいではないですか」。 「…申し訳ありません。以後、気をつけます」。
 その後、書類を修正して、もう一度FAXを送った。 「輸送機」とか「海上輸送」という表現はあるが、面と向かって「あなたを輸送してあげましょう」とは言わないだろうと。 さらに、受け取る人によっては、「運んでいってやるぞ。少々のことは我慢しろ!」的なニュアンスを与えるのでは、と。
 夕刻になって先の男性の部下だという女性から、電話が入った。 上司が不在なので、自分で電話したというではないか。 何たる、越権行為! と世間は思うだろうが、私は逆の印象をもった。
 彼女はJTBを代表して"謝罪"したのである(いや、そんな大それたことではありません)。 曰く、この部署にまわされたとき、やはり"輸送"という言葉にひっかかり、不味いのではないかと発言したが、 変更できなかったと内情を話し、来年は改めますと"約束"してくれたのだ?!
 それにしても「辞書にあるから」とは、お役人並みの"理論武装"ですな。

「日本はアメリカの"属国"とは…」
 前回、若い方の"日本はアメリカの植民地"論を紹介したが、続いて、もっと勇ましい"属国"論を披露しよう。
 私はここ数年あるところで、若い人に文章指導をしている。 今回は「イラク戦争」「SARS(新型肺炎)」「個人情報保護法」の、どれかを選択して400字書くという課題である。 選択は32名のうち15、14、3名であった。選んだ理由は、関心がある、印象深いこと、言いたいことだから、 などによるものであろう。
 SARSに関しては、脅威、不手際、情報の拡散、身の危険などが挙げられたが、 イラク戦争には、かなりはっきりした主張、怒りが目立った。
 開戦に対する疑問(国連決議を無視した/大量破壊兵器の撲滅、しかし証拠がないではないか、など)、 宗教の対立、イラク戦争ではなく「アメリカ侵略戦争」である、フセインのだらしなさ、 イラク国民のアメリカ万歳はなんだ?(同国民への失望)、ブッシュは石油が欲しいからではないか、 テレビなどのメディアの偏向、等々。
 なかでも、世の"識者"が、国連不要論を開陳するだけなのに対し、日本は常任理事国入りしたくて、 高い分担金を払ってきた? のに、アメリカの行動によって"国連の無力さ"が証明され、 日本は大いなる矛盾に遭遇しているという鋭い指摘もあった。
 さて、"属国"論であるが、「日本はアメリカの属国のようなものだから(どうにもならないだろう)」、 「(アメリカを敵対視する国は増えつづけるだろうが)アメリカの属国である日本は、どうなるか」である。 「小泉首相、どうする?」などはなかった。
 これは、やはり"自虐史観"のせいでしょうかねえ? 「つくる会」の皆さん。

「PTA日記 6月号」
 ご存知のように、PTAは小中高とも、ピラミッド型の全国組織である。
 たとえば、東京都(都高P連)の下には、学区制が消滅したのに、いまだに十いくつの旧学区ごとに組織が残存しており、 第*学区P連などと称している(各学校は、単Pという)。 先月も総会を開いた後の懇親会では、ヤクザさんまがいのパフォーマンスも披露され、 初心な? 私は驚いてしまった。
 思えば、青少年育成国民会議主催の新年会も、"青少年"不在の懇親会で酒が中心であり、 来賓は参議院に打って出る自民党候補者の顔見世でもあったりした。
 この組織も、都道府県単位から市町村単位までのピラミッド型であるが、 日本の官民ほとんどの組織がそうである。 一朝"有事"の際には、命令一下たちどころに統一行動が取れるネットワークが、 すでに存在しているも同然である…。
 本論に戻ろう。世には、小さな山でもその天辺に登りつめたいという人がいる限り、 一度作った組織はなくならないものである。 名誉欲か功名心か知らないが、選挙までして会長や副会長になりたがるらしい。
 そればかりではない。傷害保険など「総合補償制度」を謳う保険を勧誘しようと、 四つの大手保険会社が"平等に"学区を割り振り、共存共栄を図っていることも分かった。 つまり、学区がなくなることは、保険業界の"平和"をも乱すのである。 ああ、談合(団子レース)は永遠になくならない!
 ところで、高校は高P連というから、中学は中P連であろうが、私などつい昭和47年の「中ピ連」を思い出してしまう (中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合)。 そういえば、この年、日本列島改造論で土地ブームとなったが、流行語は「同棲時代」「未婚の母」であった。

(以上、2003・6・11までの執筆)


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