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似非エッセイ 2003年3月下旬号

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「マラソン中継は、ワイドショウか」
 9日の、フジテレビの名古屋国際女子マラソンの中継は、いったいスポーツ番組なのか、 ワイドショウだったのか?
 今やスポーツの世界もアマチュアとプロの垣根がなくなりつつあるが、 今年八月の世界選手権へ出場資格を賭けた大南**選手は、テレビ局の"期待通り"に優勝したのまではよかったが、 途中から佐賀にいる彼女の姉との中継を結んで、二人を「チャン」づけで呼んだり、 「姉さんも泣いている」と、本人までも"泣かせる"テレビ局の神経はどうなっているのか (もっとも、本人はゴール直後から号泣していたが)。
 たしかに民放は以前から、目玉となる選手をヒーロー(ヒロイン)とすべくマークし、 彼らをメインに放映する傾向が強い。他の選手は、たとえば有力外国人選手も、 存在しないかのような印象を与えがちで、番狂わせが起こるとデータ(取材)不足で、 "予定外の"優勝者について何を話していいのか大慌てすることもないではなかった。
 そういえば、どこのアナウンサーも似たもので、「A選手の前方には、前の選手が走っています」とか 「中間点を過ぎましたから、あと半分です」などと、分かりきったことしか言えない連中が多いのも事実だ。
 ニュースといえば、"ヤンキースの松井"に関して、今日は何を食べたとか、 寝違えて欠場などという、どうでもよいことを嬉しそうに伝える公共放送にも困ったものだ。 「ニュース」って、いったい何だろう。

「知事のスキャンダル」
 "横山ノック以下"と書かれた青森県の木村知事(67歳)ならぬ"痴事"のスキャンダルは、 「週刊新潮」の一誌独占なのかどうか。
 その日、私はある医院に出かけ、順番を待ちながら、久しぶりに手にとった同誌に、 得意の「黒い報告書」なみの"実写"が掲載されていたのを、つい読んでしまった。
 お読みにならなかった人に配慮して、内容は省略しよう。 しかし、まるで現場を見てきたような、あるいは相手の女性(53歳)が詳しく語ったかのような具体的な描写は、 まさに、例の「さいきんの事件を元に創作したものです」と、お断りの入っている"実話記事"そのものであった。
 その女性は、生活保護を受けており、税金問題で知事に窮状を訴える手紙をきっかけに、 知事が女性宅を訪問し、交際するようになったという。発覚しそうになると、 女性に"お詫び"の手紙を書かせるなど"証拠隠滅"を図る、選挙民には面倒見のいい同知事は、 "相手の弱みにつけ込む""地位乱用"の罪に問われることになるのかどうか。
 いずれにしても、やっと日本にも"公人のポルノ"が解禁になった? のかと考えさせられたが、 後日談によると、県議会で辞職勧告案が可決されても、知事は辞めないといい、 一方、高校などから「卒業式には来るな!」と一斉にブーイングだとか。
 いつまでも"現役"というのも、考えものですな!

「拉致はテロ!?」
 北朝鮮に拉致された被害者の会「家族の会」代表がアメリカに行って、 アーミテージ国務副長官など多くの要人に会い、"拉致はテロ"(「日本人拉致は現在進行形のテロ」)との言質をとったと報道された。
 帰国した後、川口外務大臣と会見した彼らは、外相が法的に"拉致はテロ"とは認めがたいというのに、 同会事務局長が激高したとも伝えられた。
 北朝鮮はひどい国だ、拉致被害者はたくさんいる、拉致の事実を忘れないでくれという彼らの願いは十分理解できるが、 いきなり"拉致はテロ"というのは短絡的ではないだろうか。 同外相は「(拉致はテロだというのは)国際法にも国内法にも定義がない」といい、 その前に安倍官房副長官は「政府にはいろいろな考えの人がいるので見解を統一するのは難しい」とし、 政府として正式にテロとして認定していないとしている。
 いま、アメリカは何が何でもイラクを攻撃したがっているが、北朝鮮に対する"熱意"は日本の比ではない。 ただ、国際世論を考え、"同盟国"日本に理解を示す意味でのリップサービスではなかったか。
 それはともかく、心配なのは"言霊"の国の日本人は、厳密に言葉の意味を考えたり解釈せずに、 ムード的に受け入れる傾向にあるからだ。
 古く、かつ今でも通用する"あいつはアカだ"というレッテルの貼り方や、 解釈が多様な「セクハラ」、さいきんまた出てきた「カリスマ」などの安易な言葉遣いの横行は、 "現在進行形の"ノーテンキな日本人を洗脳するのに好都合だということである。
 ちなみに、自民党は次の選挙に家族の会事務局長を擁立する動きがある。 出れば、高位当選は間違いないであろう。本人も仕事に"専念"できると喜ぶだろうし、 自民党は議席の確保と"拉致被害者に理解"を示すポーズで一挙両得である。
 また、大多数のムードに弱い、あるいは一票を投ずることで、拉致被害者に同情する "免罪符"になると思う日本人も一安心、八方メデタシではないか。
 ところで、拉致問題は解決する?!

「新語"パワーハラスメント"」
 ご存知かな、"パワーハラスメント"(パワハラ)という言葉。
 上司がその立場を利用して、"能力の落ちる""成績の上がらない"部下を、 悪口雑言の限りを尽くして罵倒することなどを指すのだそうだ。
 「クローズアップ現代」によると、同僚のいる前で、単に本人の問題だけでなく、 家族までもち出してイジメる場合もあり、男も女も自信を喪失したり、退職を余儀なくされたり、 あるいはどうすれば上司に気に入られるかに腐心したりの "生き地獄"であるという。
 不景気の世の中だからではない。辞めるに辞められないという"弱い立場"の部下をイジメる上司も、 元はといえばさらに上司からイジメられているのである。 つまり、いちばんわが身の"危険"を感じているのは、多分気の小さいこの"中間管理職"ではないか。
 余裕や自信があれば、上司としての役目は何かを理解し、どうすれば部下をやる気にさせたり、 自信を持たせたりすることができるかに精力を傾けるはずである。
 それにしても、この菊池寛賞を授賞した"人気"番組は、問題提起なのか、 こんなひどいこともありますよと、ただ言いたいだけなのか判然としなかった。 怒鳴る側についての考察が欠落しているため、浅薄な番組でしかなかった。
 日本人は新語を作って、しばらく流行らせて、それでオシマイという民族。 いつまで経っても進歩・改善は期待できない……。

<またまた番外>:今度は"わがカミさんの歌"
 元杉並区の住人だったカミさんが、このたび、杉並区がゴミ捨て場にある新聞紙などを "無断"で持ち去る人を取締まる条例を設けるというニュースを見て、即興的に作った"歌"(歌詞、一部)をご披露します。
「古紙は区の物/持ち去るな/盗んだ人は窃盗罪だよ/気をつけなくっちゃ/お互いに」
(どなたか、歌詞の続きとメロディをつけて下さい)2003・3・14夜

(2003・3・17までの執筆)


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