つづくかエッセイ 10月上旬号
「昭和の新宿体験ツアー」参加 その1
およそ物臭な私は自ら進んで出かけることは滅多にない。
今回も何となく、たまにはカミさんにも付き合わなければという“不純な動機”からではなかったか。
一方、彼女はどこでも一人で積極的に出かける……。
今回(9/4)、新宿歴史博物館主催の「昭和の新宿体験ツアー」という4時間ばかりの遠足のために、花園神社に向かった。 1組7,8人で、4組に一人ずつ、主催者側の担当と年配のボランティア男性案内人がついている。 ちなみに、費用はわが財布から…(参加費@3500円)。まずは顛末:その1。 台風12号の影響も少なく、日曜日の昼過ぎ、久しぶりの新宿である。 もともと若者の多い街だが、新宿駅から花園神社まで、そう遠くないのに、行き来する彼らとぶつからないように歩くのは、年寄りにはかなり難儀。 数十年前は、彼らと同じように、闊歩していたとは、まるで夢か幻か、である。
まず、配られた大き目の白地のビニール袋には1)ツアーの案内図(A4-1枚)、2)新宿まち歩きガイド(A4-8P:新宿まち歩きガイド運営協議会事務局)、 3)観光マップ 歩きたくなるまち 新宿(A4-1枚四つ折り:編集発行・公益財団法人新宿未来創造財団観光課)、4)(保存版)五感で楽しむ 新宿観光マップ(A4-24P:編集発行・同前)、 5)新宿 盛り場地図(1枚裏表B5…16折:新宿歴史博物館・平成17年5月発行)、6)高田馬場 流鏑馬〈新宿区指定無形民俗文化財A4-1枚パンフレット〉、 最後に7)として、昭和初期の新宿 新宿歴史博物館 常設展示解説シート(9)「昭和初期 新宿うまいもの食べある記」。 これだけがモノクロで、他はすべてカラーが主体であった。
細かく言えば、もう一つ、新宿シティプロモーション推進協議会発行の「しんじゅくナビ」(新宿発・新宿のまちの総合案内「カード」)が2枚ずつ入っている。 もうこれだけで、参加費をオーバーしているのではないか?!
このビニール袋も凝っていて、表と裏には新宿区ゆかりの文学者である夏目漱石と林芙美子を配している。
前者は頭部に龍の頭を描いた「漱石山房」という漱石専用の原稿用紙をあしらっている。
升目の外枠にも工夫が凝らされているが、特徴は400字詰めの半分(20字×10行)ではなく、19字×10行の独自のもの。
これを知っているのは、私だけではなかったか。なぜか。
これは朝日新聞に連載小説を執筆する際のものであると、2007年10月末、江戸東京博物館での「文豪・夏目漱石」展で教えてもらったからだ。
ついで、林芙美子は定番「花のいのちは/みじかくて/苦しきことのみ/多かりき」が印刷してあるが、ちょっと、工夫が足りないのではないかしらん?!
さて、先の1)ツアーの案内図には、午後2時半から5時半まで6か所を巡るコースが図示されている。
(1)花園神社→(2)新宿ゴールデン街→(四季の道)→(3)うたごえ喫茶「ともしび」→(4)思い出横丁→(5)新宿大通り→(6)新宿中村屋(本店)*お食事…解散 である。
わが青春時代、お金が無くて暇をつぶすのは歌舞伎町であり、飲みに行くのは新宿ゴールデン街(2)が多かった。
もちろん、花園神社(1)には特に11月の酉の市によく行った。それなりにガールフレンドもいて、ある年には短大生と水商売の女性にせがまれ、
別々に花園神社と目黒の大鳥神社をハシゴしたものである。
狭いゴールデン街は今でも200軒近くの飲み屋があるそうだが、わが友人2人がバーをやっていたこともあり、たたずまいも当時そのままで、懐かしかった。
1軒は昔の名前のままだったが、休日の昼間、扉は閉まったままで、確かめるすべもなかった。
うたごえ喫茶「ともしび」(3)は、西武新宿が最初だそうだが、今も別のビルの上階にある。年中無休という。
参加者は年配が多く、また女性も多かったが、歌詞カードを見ながら、元気に合唱し青春を“謳歌”していたように思う。
私はその間、リクエストで歌われた曲を順に記していたのだった。
いわく、山小屋のともしび・四季の歌・贈る言葉・見上げてごらん 夜の星を・あの素晴しい愛をもう一度・ともしび・ステンカラージン。
思い出横丁(4)は、狭くてやや物騒な飲み屋街だが、安酒と手軽な食いもの屋が多く、労働者に交じって、貧乏学生も多かった。
両側に店舗ひしめく中に狭い路地があり、いつだったか男同士の喧嘩があり、出刃包丁を持って追いかける姿には、ちょっと恐怖を感じたものである。
この日は、昼間のせいもあって、そこそこに客はいたが、静かであった。
そして、いつも和むのは、ガードをくぐる前に、子犬を売る店があることだ。
主に若い女性がのぞいているのも、わが青春時代と変わらない、いつもの光景であった。……後編は、次回に。
(以上、2011年10月4日までの執筆)
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